【箱根・一の湯本館】朝の湯、朝食、そして湯本の散歩まで(第2部)

【箱根・一の湯本館】朝の湯、朝食、そして湯本の散歩まで(第2部)

はじめに

箱根・一の湯本館。

旅の二日目は、いつもより静かに始まる。夜のうちに何度も湯の往復を繰り返したせいか、朝は身体の芯がよくほどけている。窓の外の空気はまだ冷たく澄んでおり、障子の隙間から差す光が室内を柔らかく照らしていました。

今日は朝湯、朝食、チェックアウト、そして箱根湯本の小さな散歩がテーマ。

特に朝食は今回の部でいちばんしっかりと描写しておきたい箇所ですので、丁寧に食材と味の印象を書き記してまいります。

朝─まずは湯へ(最後の一浴)

起床してまず向かったのは、昨夜と同じく客室の湯。

部屋の湯は「いつでも自分のペースで入れる安心感」が最大の長所。短時間の半身浴で血行を整え、軽く身体をほぐしてから大浴場へ出かけます。

大浴場は清掃時間以外はいつでも利用でき、入れ替えで異なる浴室の趣を楽しめるのも一の湯本館の楽しみ方の一つです。

湯はアルカリ性単純泉のやわらかさがあり、朝の冷気で引き締まった身体にじんわりと馴染みました。

朝食(メイン)―写真を丁寧に読み解き、味の構成を想像する

さて、朝食の時間です。宿の和定食で、品数が豊かに並ぶ典型的な和朝食であり、構成の見事さにまず感心します。

以下、一品ずつ味わいながら、調理法や合わせ方、食べた時の印象をできるだけ具体的に描写いたします。

中央 — 焼き魚(干物)

中央に鎮座するのは干物の焼き魚。魚種はアジの一夜干し。干物は朝食の王道であり、程よく焦げ目が付くまで焼かれていて、皮の香ばしさと中の身のほろほろ感が期待できます。塩気は強すぎず、白米と合わせると幸せになるタイプの干物でした。朝の湯上がりにはこの「香ばしさ」が特によく馴染みます。

宿の献立や日替わりの干物は季節や仕入れで変わることがあります。

左上・右上の小鉢群 — 豆腐、温泉卵の布陣

右上中央には殻付きの温泉卵が供されており、これは好みによって割って卵かけご飯にするか、醤油で食べるため。左上の白い小鉢は豆腐(冷や奴)、オクラの薬味が添えられています。

豆腐は箱根湯本の名産・萩野の豆腐のような地元品が用いられることも多く、朝の一皿として大変嬉しい要素です(後述の湯本散歩パートで萩野を訪ねています)。

この二点は「蛋白質とやさしさ」を補うラインナップ。豆腐はオクラがアクセントになっており、口当たりがやわらかく、しっかり満足感を与えてくれる。温泉卵は新鮮なので卵かけご飯(T K G)にして楽しむのが王道です。

右下の小鉢 — ネギトロ

写真右側の小さなピンク色の球状のものは、ネギトロの小鉢。醤油を少し垂らして、白米と合わせると食べ応えが出るタイプ。

朝の一品としては脂のバランスが良く、干物とのコントラストを生みます。

手前の三連小鉢 — 付け合わせ(ひじき・ポテト風・煮物)

手前には三連に仕切られた小鉢に、左からポテト風の練り物、中がひじきの煮物、右が人参やきのこの甘辛煮。これらは和朝食の箸休めであり、味のアクセントと食感のリズムを作ってくれます。

ひじきの煮物は良質なミネラルと食物繊維を朝に補う働きがあり、和定食の構成としては栄養面でも理にかなっています。

左下 — 味噌汁(とろみあり)

写真左下の椀は味噌汁ですが、見た目に少しとろみがあり、具だくさんで刻み野菜や海藻が多めに入っているもの。

一の湯の旅館では、このように朝に具だくさんの味噌汁を出すことが多く、これが朝の体温をしっかりと支えてくれます。

右上の小鉢 — プリン(デザート)

右上に見える白い器は小鉢に入ったプリンで、その滑らかな表面がデザートらしい落ち着きを感じさせます。

食事の〆として、ほんの少量でも満足感を得られるのを大切にしているようです。

全体のバランスと食べ方の提案

この朝食は、焼き魚(主菜)+ご飯(主食)+味噌汁(温かさ)+小鉢群(栄養と変化)+卵・豆腐(蛋白質)という典型的で完成度の高い和定食。

朝の最初は味噌汁とご飯を少し口に含み、次に干物を少しずつほぐして白米に合わせる。途中で卵かけご飯(生卵)を楽しみ、茶碗蒸しで口を落ち着かせ、最後に甘みのある小鉢で余韻を整える―という順序が、胃にも心にもやさしい過ごし方です。

宿側の献立ページにもあるように、一の湯の食事は季節性を重視した会席やプランが中心で、朝食もまた「しっかり食べても飽きない」構成を意識していることが分かります。

朝食後のもう一浴、チェックアウト

朝食をゆっくりいただいたあとは、再び大浴場へ。朝の大浴場は特に清々しく、湯に浸かりながら今日の行程をゆっくりと組み立てるのが好きです。

チェックアウト時にはフロントで旅館の方と少し言葉を交わし、塔ノ沢の坂道を下って箱根湯本の街へと向かいました。

宿の立地は早川に近く、歩いてすぐに駅前の賑わいへ出られるのも便利です。

湯本散歩 — 萩野豆腐で買い物、紫陽花、はつ花そばの昼

箱根湯本散策

チェックアウト後は、歩いて湯本の町を散策。

途中、川を眺めながら小田原レモンチューハイを。

豆腐処萩野

まず向かったのは老舗の豆腐屋さん、萩野(はぎの)

200年以上の歴史を持つ豆腐処で、天然にがりと湧き水で作る豆腐や豆乳スイーツが評判。

店頭には朝早くから並ぶ地元客の姿もあり、私たちは朝食で美味しかった豆腐の香りを思い出しつつ、こだわりの豆腐や生湯葉を買い求めました。

萩野は観光案内にも掲載されている箱根の名店です。

紫陽花鑑賞

次は、季節であれば見事な紫陽花スポットへ。

箱根の山里は四季折々の花が楽しめますが、湯本界隈の小道には紫陽花が美しく咲くところが点在しており、足を止めてしばし鑑賞しました。

旅の終わりに視覚が満たされると、身体だけでなく気持ちまで整います。

はつ花本店

昼食ははつ花(はつはな)そばへ。

こちらは自然薯を使ったとろろそばで有名な老舗で、箱根湯本駅からほど近い場所にあります。

行列ができることも多いのですが、手打ちのそばと自然薯のまろやかさが、散策の疲れをやさしく癒してくれます。

はつ花は創業が古く、地元では外せない名店として知られています。

箱根湯本駅へ

その後、そのまま駅まで歩いて旅を締めくくり、電車で帰路につきました。

短いけれど中身の濃い滞在は、いつもより心の余裕が増していたように感じます。

読者へのちょっとした実用メモ

  • 朝食の楽しみ方:宿の朝食は「まずは味噌汁で温まる→干物を少しずつ→卵かけご飯で変化をつける」流れが料理の設計意図と合います。
  • 萩野豆腐への行き方:箱根湯本駅から徒歩圏。朝早めに行くと品揃えが良いです(人気商品の場合売切れあり)。
  • はつ花そば:行列必至の人気店。営業時間や定休日(水曜が多くの店舗で休み)を事前に確認すると安心です。

あとがき(余韻)

朝の湯と朝食、そして短い散策─こうした日常に近い旅行の時間は、何気ない所作が幸せになるのを教えてくれます。

宿で湯に浸かり、しっかりした食事をとり、町の名店を巡る。箱根の小さな一日は、そのすべてをちょうどよい密度で詰め込んでくれます。

今回の一の湯本館での滞在は、湯の質と食事の完成度が印象的でした。

次回は一の湯の湯めぐりをさらに深掘りして、館ごとの湯の違いを読者の皆様に詳しくお届けしたいと思います。

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