【Roost】黒板メニューで選ぶセットと副菜・大吟醸の昼下がり

【Roost】黒板メニューで選ぶセットと副菜・大吟醸の昼下がり

8月12日、火曜日。

日替わり一本勝負の「Roost(ルースト)」を再訪いたしました。

吊り下がっている黒板に、その日の献立がさらりと手書きされていて、内容は各1,000円(テイクアウト可)。この“今日の気分”に身を委ねる感じがRoostの醍醐味でございます。

本日の黒板メニュー。迷ったら両方頼んでシェアが正解。

日本酒の種類も充実。

本日のメイン(各1,000円)

  • Aセット:揚げ鶏となすの冷やしあんかけ
    からりと揚げた鶏に、艶のある冷製あん。茄子は油を纏いながらも瑞々しく、噛むと種のあたりからじゅっと旨みが広がります。あんは出汁がしっかり下支えしつつ、きりっと生姜が効いて後口が爽やか。暑い日のメインとして理想的な“軽やかな満足”が得られました。
  • Bセット:ポークジンジャーカレー
    玉ねぎの甘みを丁寧に引き出したベースに、ジンジャーの辛味と香りを縦軸に据えた構成。豚は薄切りを重ねるタイプで、噛むと繊維の間から脂の甘さが滲みます。スパイスの輪郭ははっきりしながらも、過度に辛くはなく、旨味の層で食べさせる“香りのカレー”。
  • ダール(豆のカレー)
    とろりとなめらか。小皿で添えてもらい、A/Bどちらのソースにも重ねて味のグラデーションを作る楽しさがありました。穀物様の甘い香りが、油やスパイスをやわらかく包み込みます。

副菜の妙(黒板より)

  • 空芯菜の卵のタルル(卵炒め):空芯菜のシャキシャキと卵のふわりが共存。軽いニンニクの香りが食欲を引き戻します。
  • 芋がらの炒めもの:独特の歯ざわりに、ごま油の香りと薄口の出汁。噛むほどに旨味がにじむ“噛みごたえ担当”。
  • きゅうりのマスタードマヨ:パチッとはぜるマスタードシードの香りと、丸いマヨの酸味。油ものの後に嬉しい小休止。
  • モロヘイヤとオクラのたたき:ぬめりの相乗で喉ごし涼やか。ミネラル感のある青い香りが、口中をリセット。
  • つるむらさきのおひたし:ほのかな粘りと野趣。出汁が品よく効いて、終盤の“整え”に効きます。

副菜はどれも塩分を控えめに設計され、メインの輪郭を邪魔せず、むしろ高めてくれる“脇役の名演”。A・Bをシェアしながら、副菜を合いの手のように挟むと、自然と食べ進みのリズムができました。

限定大吟醸「鼎(かなえ)」。香りは白い果実、口当たりはしなやか。

日本酒ペアリング:限定大吟醸「鼎(かなえ)」

この日のグラス酒は鼎(かなえ) 限定・大吟醸。一合瓶のエチケットが印象的です。香りは白桃や洋梨のような白果実に、米由来のふくよかなニュアンスが背中を押すタイプ。口当たりはしなやかで、後口は澄んでいて引きが良い。

  • Aセット × 鼎
    揚げ油の香ばしさや茄子の甘い余韻を、鼎の“澄んだ酸”がすっと洗い流し、冷製あんの生姜をふわりと持ち上げます。清涼感が継ぎ足される、完成度の高い取り合わせ。
  • Bセット × 鼎
    ジンジャーの温かい辛味に対して、鼎の吟醸香がふくらみを与え、豚の脂の甘みを品よくまとめ上げます。辛さを増幅せず、旨味だけを伸ばす“良い橋渡し”。
  • ダール × 鼎
    豆の甘香に、鼎の透明感が重なると、余韻が長く続きます。スパイスの角が取れ、穀物の滋味が前に出るペアリング。

Roostの日本酒は1グラス500円。スパイス系・和出汁系どちらにも合わせやすい選定で、食の幅がぐっと広がります。

食後は純米吟醸おりがらみ。子どもを遊ばせながら、ゆっくりと。

空間について─2階の座敷で“滞在する食事”

この日も2階席へ。靴を脱いで上がる2階は、清潔感があり、ほどよく開放的。畳とフローリングの質感が落ち着きをもたらし、子どもたちは小さなおもちゃを手に遊びながら、大人は料理とお酒を前に会話を重ねます。“食べる”と“滞在する”が両立する、稀有な空間設計だと改めて感じました。

味の所感(詳述)

  • 温度設計が素晴らしく、Aセットの“冷やしあん”は氷温手前で粘度が安定。揚げ鶏の衣が水っぽくならず、食感の立ち上がりが鮮明。
  • Bセットは生姜の“辛さ”ではなく“香り”を主題に置いており、辛味耐性の幅が広いテーブルでも気持ちよく共有できます。
  • ダールはとろみの粒子感が均一。口当たりの滑らかさがメインの油分や香味を受け止める“バッファ”として効く、秀逸な役回り。
  • 副菜群の塩梅が控えめゆえ、酒と合わせても味がぶつからない。鼎の吟醸香が料理の輪郭を曇らせない“余白”を作っています。

価格と満足度

料理は各1,000円と明快。日本酒は1グラス500円。A・Bをシェアし、副菜をつまみ、グラスを重ねても、ランチ~夕方帯の滞在としては非常に満足度の高いレンジに収まります。テイクアウト可表記もあり、家飲み・家ごはんの選択肢としても有効です。

自分用メモ(業務記録)

日時: 2025年8月12日(火)12:00〜14:00
場所: Roost(秦野市)2階席利用
参加者: 代表取締役(私)、取締役(妻)、娘(1歳)
目的: 日替わりメニューの試食・撮影、酒×料理ペアリング検証、子連れ滞在性の確認
注文内容(税込):

  • Aセット(揚げ鶏となすの冷やしあんかけ)… 1,000円
  • Bセット(ポークジンジャーカレー)… 1,000円
  • 小皿… ※セットで別皿提供のため無料
  • 日本酒「鼎」グラス … 500円 ×(5)杯
    概算合計: 2,000円+2,500円=4,500円

検討事項:

  • 写真:黒板→料理→日本酒の順で物語的に掲載(キャプションは事実+ひと言)
  • 次回企画予定:夜帯のアテ(副菜強化日)×日本酒のペアリング特集
  • 家族向け導線:2階席の靴脱ぎ・荷物置き・子どもスペースのチェック

備考:

  • 「今日だけの味」をどう記録するか―黒板の全景写真+配膳後すぐの俯瞰を必須化。
  • 料理の塩分設計が秀逸で、酒を重ねても味が崩れない。鼎は“洗う”役割として非常に有効。
  • テイクアウト可表記は、家庭での再現性・応用(追い副菜・追い酒)に繋げやすい。

黒板の前で立ち止まり、少しだけ悩んで、結局は両方を分かち合う。そんな“今日の一皿”があるから、Roostは何度でも訪れたくなるのだと思います。

次回は小皿と日本酒の組み合わせを、もう少し深掘りしてみる予定です。

個人店カテゴリの最新記事