泳いだあとに入るサウナー整いの逆順
これまで、サウナから整いに向かうという流れについて何度かお話ししてきました。
ふと流れを変えてみたくなりました。
それはプールで泳ぎ、身体を動かしたあとに、サウナに入ってみるということ。
これが想像以上に、深く穏やかな整いへとつながることに気づきました。
火を灯すのではなく、火を鎮める
普段、サウナに入るときは「熱を通して身体にスイッチを入れる」ようなイメージで臨むことが多いかと思います。
しかし、プールで泳いだあとに入るサウナは、それとはまったく逆の効果を感じさせてくれます。
この季節、プールから上がった後もまた暑い。さらに、60分ほど泳いだあとの身体は、すでに温まっている状態。呼吸も深くなり、筋肉は緊張から解かれて、どこかゆるやかな弛緩。
そんな状態でサウナに入ると、まるで“仕上げ”のように、整いが深まっていくのです。
言うなれば、「火を灯す」のではなく、「火を静かに鎮める」ような時間。泳ぎによって動いた全身のエネルギーを、サウナの熱が静かに包み込み、余分なものをゆっくり蒸発させていく。そんな感覚がございます。
水から火へ、緊張から解放へ
泳ぎ終えた直後の身体は、心地よい疲労感に包まれています。筋肉は使われ、心拍数は少し高く、でも呼吸はすでに安定している。この状態でサウナへ入ると、最初はいつもよりも熱さが穏やかに感じられます。
じっと座りながら、自分の身体の“熱の入り方”を感じていると、泳ぎで動かした部分がじんわりと、そして静かに緩んでいくのです。
特に首、肩、背中。プールで水を押し続けた部位ほど、サウナの熱が心地よく届きます。そう、それはまるで、身体が「ありがとう」と言ってくれているような、そんな優しい解放感があります。
整う順番は自由でいい
「サウナ → 水風呂 → 外気浴」という順番が整いの王道であることは、今さら申し上げるまでもありません。
けれど、あえて流れを逆にしてみることで、また違った気づきが得られることもあります。
泳ぐことで“動きながら整い”、サウナで“座りながらほどいていく”。この逆順の流れには、どこか「深呼吸のような余韻」があります。
整いとは、単なる手順ではなく、「今の自分が、何を必要としているか」に応じて変化すべきもの。プールのあとに入るサウナがしっくりくる日も、当然あるのです。
おわりにー自分で決める、今日の順番
私たちは日々、流れの中で生きています。仕事の段取り、家事の手順、子どもの生活リズム。そうした「決められたリズム」に沿って生きることが多いものです。
けれど、プールとサウナの関係だけは、誰にも決められていません。今日は泳いでからサウナ、両方行こう。その自由さの中に、自分の感覚を取り戻すきっかけがあるように思うのです。
泳ぎ終えた身体でサウナに入る。それだけのことで、またひとつ、「整い方」の選択肢が増えました。
ー泳ぐという整いー(完)