【熱海・マルヤテラス】元旦 — 生ビールと鯖サンド、小さな振る舞い酒の幸せ

【熱海・マルヤテラス】元旦 — 生ビールと鯖サンド、小さな振る舞い酒の幸せ

はじめに

2021年、元旦の朝。

熱海銀座の賑わいを少し抜けて、いつものようにマルヤテラス(MARUYAテラス)へ向かいました。

これまで何度も立ち寄っている場所で、ここに来るときはほんの少し肩の力が抜ける―そんな気分になります。

今回も手軽に楽しめる名物を求めての訪問でしたが、結果として「小さな幸福」がいくつも積み重なったひとときになりました。

入口からの気配と店の雰囲気

マルヤテラスの1階にあるカフェスペースは、気取らない温度感が魅力。

観光客や地元の人が混ざり合い、テラス席を選べば海風と行き交う人々の声が自然に背景音になります。

正月の朝とあって街は普段と違う緩さをまとい、散歩がてらの朝飲みにはちょうど良い空気でした。

店の看板メニューに掲げられた「サバサンド」は地域の干物とパンを組み合わせた名物として知られており、手軽に熱海の海の幸を楽しめる一品です。

まずはビール — 「静岡麦酒」を生で

この日はまず生ビールを二杯。

マルヤテラスでは地元・静岡のクラフトビールも扱っています。

「静岡麦酒」に関しては、瓶や缶ではなく「生」で飲めることが嬉しいポイント。冷えた一杯を口に流し込むと、旅の疲れがするりとほどけていく感覚。

ビールの銘柄は季節や仕入れで変わることもあるようですが、地元のビールが揃っていることがこの店の魅力のひとつです。

地物とビールの相性もいまさら語るまでもなく、合間にじんわりと広がる海の塩気がとても心地よかったです。

メイン:看板の鯖サンド — 期待を超える素朴さ

私がいつもこの店で注文してしまうのが「鯖サンド」。

干物屋さんから仕入れた鯖を使い、熱を加えた旨味と香ばしさをバゲットで挟んだもの。

外側はほんのりと香ばしく、中の鯖は脂の乗りと干物ならではの凝縮した旨味があり、レモンや野菜の酸味がきゅっと引き締める―実に「ビールとよく合う」構成です。

豪華な料理ではないけれど、海に近い町でしか味わえない素朴な“おつまみ感”がしっかりとあります。

観光の合間の軽い食事としても、朝の小腹を満たす一皿としても優秀でした。

正月のサプライズ — 振る舞い酒「正雪」

この日はたまたま元旦。店でも新年の催しがあり、振る舞い酒として「正雪(純米吟醸)」が振る舞われました。

寒の中での一杯というのは、たとえ量が少なくとも特別な意味を持ちます。

小さな杯に注がれた冷酒は、深い香りとふくよかな旨みがあり、ビールで温まった体にそっと寄り添ってくれるよう。

振る舞い酒をいただく瞬間は、旅先で思いがけない「いいこと」に出会ったような、ほんの少し大きな満足感をもたらしてくれました。

(※この日限りの出来事であったため、常時提供されるものではありませんが、正月や地域イベント時にこうした催しがあることもあります。)

サーブと接客のやさしさ

店員さんの対応は気さくで親切。観光客で混み合う時間帯でも、大きなストレスを感じることはありませんでした。

席で食べているときにも、さりげなく皿を下げてくれたり、子ども連れや年配の方に対する配慮が行き届いている点に好感が持てます。

観光地の“気軽さ”と“居心地の良さ”を両立させている印象です。

総評:海の町の小さな幸福を拾う場所

マルヤテラスは、豪華な食の体験を求める場所ではありません。

けれども、地元の素材を気軽に味わえること、海の空気の中で「立ち寄って一杯」ができること―その手軽さ自体が価値です。

鯖サンドという看板メニューは、シンプルながらも熱海らしさを濃縮した一皿。そこに地元のビール、そしてこの日出会った振る舞い酒という小さな出来事が重なり、いつもの朝が少し特別なひとときに変わりました。

もし熱海銀座を歩く機会があれば、マルヤテラスでサバサンドと地元ビールを試してみてください。軽やかな朝食の代わりにも、散策の合間の一杯にもぴったりの店です。

地元の干物屋さんと繋がっていることや、クラフトビールや地元素材を揃えている点は、訪れる価値をさらに押し上げています。

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