【伊豆長岡・伊古奈荘】宿泊記・第2部

【伊豆長岡・伊古奈荘】宿泊記・第2部

二日目の朝食から、二泊目の静かな夜まで

2日目の朝。

伊古奈荘で迎える朝は、どうしてこうも身体が軽いのでしょうか。温泉に浸かっては休み、また浸かっては休む。

旅のリズムがゆっくりと体に馴染んでいき、二泊三日の「連泊」のありがたさを、目覚めた瞬間に再認識いたしました。

娘は旅先でも変わらず早起きで、布団の上でご機嫌に転がりながら私たちを起こしてくれました。

カーテンを開けると、庭の緑が朝の光にしっとりと濡れ、どこか懐かしい、温泉旅館らしい時間が流れておりました。

二日目の朝食─ 湯上がりの身体に優しく染み込む、旅館の朝

朝食会場へ向かう前に、まずはひと風呂。

朝の温泉はまた格別で、身体がすっと温まり、そのまま軽くなっていく心地よさがあります。

湯からあがり、ほてった身体のまま向かう朝食会場。これがまた旅の醍醐味でございます。

伊古奈荘の朝食は、派手さはないものの、一つひとつが丁寧に作られ、旅館の「きちんとした朝ごはん」という感じがありました。

焼き魚の香り、豊富なおかず、味噌汁のほっとする湯気、炊きたてのご飯。娘にはミルクをあげながら、家族3人でゆったりと箸を進めます。

温泉旅館の朝食は、なぜこんなにも幸福感が高いのでしょう。

やはり「夕食→温泉→睡眠→朝温泉」という、人間にとって理想的な時間の流れの上に置かれているからかもしれません。

午前中は、部屋温泉と貸切風呂を行ったり来たり

朝食後は、再び温泉三昧。

娘が遊び疲れて昼寝をしてくれたため、その隙に交代で入ったり、夫婦で小さな時間を作って貸切風呂へ足を運んだり—連泊でなければできない楽しみが、静かにゆっくりと積み重なっていきます。

貸切風呂は外の空気が柔らかく入り込み、広すぎず、家族3人にはちょうど良いサイズ。

湯の香りがやさしく、温度も暖かく、心がほどけるような時間が流れていました。

二日目の夕食─ 「新緑伊豆の国御献立」二泊目

さて、この旅で最大の楽しみのひとつであった二日目の夕食

写真のお品書きを見ながら、順に丁寧に記してまいります。

伊古奈荘の会席は、2日連続でも飽きることはなく、むしろ「今日の構成は、昨日とはどう違うのだろう」とワクワクしてしまう。

そんな魅力がございました。

● 先付

  • 胡桃豆腐(くるみどうふ)
  • 茄子インゲン 生姜和え

胡桃豆腐は、胡桃の自然な甘みと香りがふわりと立ち上り、口あたりはとろりと柔らか。

茄子とインゲンは軽やかに生姜が効き、夕食の始まりにふさわしい落ち着いた味わいでした。

● 前菜

  • 海老塩焼き
  • 北寄旬菜(ほっき貝と季節野菜の盛り合わせ)
  • 南瓜カステラ
  • キウイ松葉
  • 牛八幡巻

繊細な前菜料理。

南瓜カステラはほっこりと甘く、海老は塩のあたりが強すぎず絶妙。

キウイ松葉の爽やかさが加わり、口の中でリズムが生まれる前菜。

牛八幡巻はしっかりと味が染み、噛むほどに旨味が広がります。

● 造り(お造り)

  • 鯛うす造り

この日の刺身は潔く「鯛一本勝負」。

薄造りならではの繊細な歯ざわりが心地よく、ポン酢の酸味との相性も良く、思わずもう一皿欲しいほどの完成度でした。

● 焼物

  • サゴシ幽庵焼き

サゴシ(鰆の若魚)の幽庵焼きは、柑橘の香りがやや強めに立ち上がり、脂の軽い旨さが引き立っておりました。

白米と合わせると、途端に味が丸くまとまり、旅館の焼き物らしい満足感がありました。

● 台の物(メイン)

  • 穴子柳川
  • 玉子

これは特に印象的な料理でした。(写真撮影失念…)

穴子の甘みと、柳川鍋特有のごぼう香が重なり、その上にふわりと卵がとじられています。

熱々を口に運ぶと、穴子の柔らかさが優しく広がり、二泊目のメインにふさわしい深みがございました。

● 揚物

  • イサキから揚げ
  • 野菜

イサキの身はほろりと軽く、衣も薄めで、油の重さを感じさせない揚げ方。

強さがなく、味がすっと引いていくため、会席の後半にぴったりの一品でした。

● 食事

  • ご飯
  • 香の物三点盛り
  • 赤出汁

香の物が丁寧で、特にきゅうりの浅漬けが爽やかで箸休めに最適。

赤出汁のコクが身体を落ち着かせ、夕食の締めに静かに寄り添います。

● 水菓子

  • ルビーぶどう
  • キウイ

シンプルながら、果物の甘さがはっきりしていて、食後の余韻を整えてくれる美しい締めでございました。

食後─ 夜の温泉をもう一巡して、一日の幕を閉じる

夕食後は、娘が少し遊んでから自然と眠り、私たちは交代で「夜の外出」と温泉へ。

昼とは違う、静けさが深く沈んだような雰囲気。

浴場に入ると、ほのかに響く水音だけが耳に届き、体がまたじんわりと温まっていきます。

部屋に戻り、最後に客室風呂でひと息。湯の香りと夜の涼しさが混ざり、時計を気にすることなくゆっくりと浸かる。

この上ない、連泊の幸福でございました。

2日目はこのように、温泉と食事を中心に、静かで豊かな夜の時間が過ぎていきました。

つづく(第3部)

次回は「最終日の朝〜チェックアウト、そして旅のまとめ」として第3部をお届けします。

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