はじめに
2020年11月9日、月曜日。娘がまだ生まれる前のこと。
私と妻の二人で旅に出ることがありました。
その一つが、ニューウェルシティ湯河原・いずみの湯の日帰り入浴。

温泉でゆっくり身体を温め、帰路につく前にどこか地元の食堂で一杯。
そんな時間を過ごしたくなり、スマートフォンの地図アプリを頼りに辿り着いたのが、湯河原の高松食堂でした。

観光客だけでなく、地元の常連も足を運ぶというこの食堂。
住宅街の中にあり、道に迷いかけたことも、結果的に「この店には、ここでしか出会えない料理がある」と、直感させられる伏線だったように思えます。
入店と最初の印象
扉を開けると、そこには 豊富なメニューの世界。

壁に貼られた品書きは定番から季節ものまで幅広く、どれも素朴で魅力的に見えるものばかりです。

迷った私はまず 生ビール(お通し:枝豆) を注文。

提供された一杯は、泡の鮮度とグラスの洗浄具合からして、明らかに丁寧な一杯。

こういう基本がしっかりしている店は、料理に対する信頼感が一気に増すものです。
料理のはじまり
まず頼んだのは もつ煮込み。

じっくり煮込まれた味噌ベースの旨味が染み渡り、ビールとの相性は言うまでもなく最高。
追加で頼んだ 野菜炒め も、豊富な野菜の歯応えと香ばしさで“こういう一杯飲みには最高のつまみ” と感じました。

「肉入りもやしあんかけ焼きそばスペシャル」
写真をご覧ください。

丼一面にもやしや豚肉、そして半熟卵が二つ乗り、赤みを帯びたあんが全体を覆うこの料理。
高松食堂における当時の新メニュー「肉入りもやしあんかけ焼きそばスペシャル」!
名物 “たんたん焼きそば” の変奏版といえるものかもしれません。
いわゆる “完全な焼きそば” とは異なり、麺はあんの下で軽く炒められ、あんによって仕上げられているタイプ。
具材はたっぷりのもやし、軽く火の通った豚肉、そして半熟の卵がスープ状のあんと絡み合う。
昭和食堂の定番とも言える好きな構成です。
あんかけ的世界観の魅力
この料理の魅力を整理すると、次の要素が挙げられます。
◎ たっぷりの野菜と豚肉
もやしが主役級に入っている上に、豚肉も量が多く、口に入れるたびに具材の存在感があります。
もやしの軽いシャキ感が、あんのとろみと噛み合い、“食べている感” をしっかり演出します。
◎ とろみのあるあん
あんは醤油ベースに近い、甘辛く、どこか懐かしい味わい。
「濃すぎず、薄すぎない」という絶妙なバランスで、麺にも野菜にも絡みます。
昭和の食堂文化では非常に馴染みの良い味付けです。
◎ 半熟卵 × あん
この料理の最大の個性は、なんと言っても半熟卵が二つ乗っていること。
黄身が割れてあんの中に溶けていくと、まろやかさが一気に増し、全体が“卵入りのあんかけ丼” のような満足感になります。
これは単なる「トッピング」ではなく、実はこの料理の核心的なアクセントです。
ビールとの幸福なコンビネーション
この料理と一緒に進むビールは、まさに理想的な流れでした。
- 最初の一杯で身体を解きほぐし、
- もつ煮で味の住所を決め、
- 野菜炒めで舌を整え、
- そしてこのあんかけ的な一杯で満足度を急上昇させる。
どんどんビールが進む構成は、昭和食堂ならではの“間の取り方”です。

この料理は、心の満足度がとても高い、地元漬けの一品でした。
何でもない日常が、名物になる
調べると、高松食堂については
- 長年愛される地元の定食屋
- 豊富なメニュー(麺・定食・一品料理多数)
- 昭和らしい落ち着きある空間
といった評価が散見されます。
観光地というよりは、地元の人も普通に通う食堂 。
この日の最後にはその地元の人も食べるラーメンを。

一杯350円とコストパフォーマンスも抜群で、高松食堂は何度でも訪れたくなる気持ちになります。
この日は、湯河原からの帰り道ということもあり、“温泉でほぐれた身体” と “一日の余韻” が残っていて、最後のラーメンがちょうど良い“締め”となりました。
「肉入りもやしあんかけ焼きそばスペシャル」を通じて感じたこと
ここでの料理を食べながら思ったのは、
こういう食堂の一杯こそ、食べ物ブログとして価値があるのだ
ということです。
誰かが「有名店」として教えてくれるわけではなく、スマホの地図を頼りに歩いて見つけた店で、何のてらいもなく出てくる料理が、食べ終わった瞬間に「また食べたい」と思わせる。
半熟卵がとろりと絡むあんかけ系の麺も、もやしと豚肉の噛み応えも、そして何より、ゆったりした食堂の空気もまた一体となっていました。
高松食堂での食事は、“ただの食事” を越えて、その日の旅の締めくくりとして、しっかり心の中に残る体験となりました。
まとめ
高松食堂で出会った、「肉入りもやしあんかけ焼きそばスペシャル」
これは、
- 食堂メシの完成形
- 昭和の味付けの奥行き
- 卵のまろやかさととろみの幸福な融合
- 旅の余韻をそのまま味わえる一皿
とまとめられます。
こういう一杯に出会えると、「外食とは何か」をあらためて考えさせられます。
目新しくなくとも、どこか懐かしく、いつかまた戻って食べたくなる。
それが、高松食堂の魅力なのだと思います。