はじめに
2020年10月、コロナ禍の箱根へ。
今振り返れば、世の中全体がどこか張りつめていた時期だった。人の流れも、会話も、旅そのものも、少しだけ慎重になっていた頃。

そのような中での、一の湯新館。娘が生まれる前、妻と二人だけで出かけた、一泊二日の箱根旅です。
まずは小田原で、旅の下地をつくる
この日のスタートは小田原。箱根へ向かう前に、あえて一度、腰を落ち着ける。

立ち寄ったのは「海鮮ふじ丸」。

注文は、迷いなくビールと刺身盛り合わせ。
この刺身盛り合わせ、値段を聞いて少し驚きます。なんと999円!

ネタの種類も十分で、どれも鮮度が良い。旅の出だしとして、これ以上ない滑り出しです。

その他の料理もまた安い。そして、量が多い。何より、うまい。
「今日は良い日になるな…」
そんな予感を、まだ昼前の段階で得ることになりました。
電車で箱根湯本へ、歩く時間も含めて旅
小田原から電車に乗り、箱根湯本へ。駅に降り立つと、空気が少し変わります。

宿までは歩く。途中、コンビニで仕入れたビールで、軽く乾杯。

外で飲むビールというのは、なぜこうも美味いのか。旅の高揚感が、味を一段引き上げてくれる。

道中、一の湯本館の前を通るルートを選びました。

これまで何度も訪れている、見慣れた建物。
「また来たな」という感覚と、「今日は新館だ」という新鮮さが、同時に沸き起こります。
一の湯 新館、チェックイン
宿に到着し、チェックイン。今回の部屋は温泉付き客室。この一言だけで、勝ち確定。
部屋に入ると、まずは荷物を置くより先に、温泉。すでに湯が張ってある温泉に身体を沈める。

やはり、一の湯の湯は良い。
柔らかく、長く浸かっていられる。身体の芯から、静かにほどけていきます。
大浴場へ、露天で過ごす時間
部屋風呂のあと、大浴場へ。コロナ禍ではあったためか、この日は比較的空いていました。

露天風呂に出て、そのまま長居。風を感じながら、何も考えずに湯に身を委ねる。
この「何も考えない時間」が、旅において一番の贅沢なのかもしれません。
温泉と酒の、いつもの往復運動
部屋に戻り、
- 温泉
- ビール
- 温泉
- 日本酒
この流れを、夕食まで何度か繰り返します。
アテは、
- わさび漬け
- 無添加の塩から
値段は決して安くはないが、この塩からが本当に美味い。

余計な味がなく、酒の邪魔をしない。
「良い酒には、良いアテが必要」
そんな基本を、改めて思い出させてくれました。
夕食の時間、そして飲み放題という幸福
夕食の時間。一の湯 新館の特筆すべき点のひとつが、夕食時の飲み放題。

ビール、ビール、ビール。遠慮なく、心ゆくまで。

管理が行き届いているのか、飲み放題とは思えないほど、ビールの状態が良い。しっかり冷えていて、味もきちんとしています。
本日の夕食メニュー
夕食のメニューはこちら。

- 酒肴三種盛り
→ どれも酒の立ち上がりを邪魔しない、理想的な前菜。 - 摘み上げ湯葉の冷し小鉢
→ 優しい口当たりで、箸休めとして完璧。 - 銀鱈の自家製西京漬け焼き
→ 脂の乗りが良く、間違いない安定感。 - 茄子のはさみ揚げ おろしポン酢
→ 重くなりがちな揚げ物を、軽やかにまとめている。 - 名物 特選豚の美味出汁しゃぶしゃぶ
→ 出汁が主役。最後まで飲みたくなる。 - 香の物・御飯
→ ここで一度、気持ちを整える。 - 氷菓子 洋梨のシャーベット
→ 食後にちょうど良い、さっぱり感。
一の湯グループの食事はどこでも似たメニュー構成になるのですが、何度食べても満足感を得られます。

秋の来ないメニューであるのは間違いありません。

夜は、再び温泉と酒へ
夕食後、部屋へ戻ります。
- 大浴場
- ビール
- 部屋風呂
- 日本酒
この繰り返し。
この日の日本酒は、酔鯨 純米吟醸。四合瓶を一本、持ち込みました。

キレがあり、温泉上がりにもよく合います。

わさび漬け、塩からと合わせると、もう何も必要ありません。
就寝前、静かな満足感
気づけば、時計はそれなりの時間。身体は温まり、頭は静か。
「今日は、良い一日だった」
そんな、何でもない感想が、いちばんの正確だと思います。
終わりに
—第一部は、ここまで。温泉と酒に身を委ねた一日が、静かに終わります。
第二部では、朝の温泉、朝食、チェックアウト後の時間まで。
この旅をきちんと締めくくりたいと思います。