【Roost】黒板と大皿、子どもたちの笑い声

【Roost】黒板と大皿、子どもたちの笑い声

はじめに

12月7日、日曜日。12月の冬の陽ざしは、北風の輪郭を柔らげるように差し込んできます。

この日は友人夫妻とその息子二人、それに私たち夫婦と娘一人、合計七名での滞在となりました。子どもたちがあちこちで声を上げ、笑い合う中、2階の座敷に腰を落ち着けて、その様子を眺めながらゆっくりと食卓を整えました。

Roostの黒板メニュー。今回は1種類のみのミールススタイル。

普段は2種類、どちらかを選択。黒板には“今日だけの味”がさりげなく書かれており、2種類どちらか迷ったら両方頼んでシェアするのが常套手段です。

店の空間設計は「食べる」と「滞在する」を両立させてくれるもので、子連れでも居心地よく過ごせる工夫が随所に見られます(実際にこの日も子どもたちは2階で遊び、親たちは料理とお酒を前に会話を重ねておりました)。この点は過去の記事でも丁寧に紹介されているとおりです。けいさんの酒ブログ

黒板の声 — 今日の選択肢

店の大きな黒板には、手書きでメニューが並んでいました(写真参照)。見やすく、しかしどこか気取らない文字で書かれたそれは、「今日の気分」を自然に決めさせてくれます。

黒板に書かれていた主な内容は以下の通りです。

ミールス(¥1,400) — メイン

  • サーグチキン(ほうれん草などのグリーンソースのチキン)
  • レンコンとネギのキーマ
  • ラッサム(酸味のある南インド風スープ)
  • ダール(豆のカレー)

副菜(黒板より)

  • 小松菜のココナッツ炒め
  • 里芋のフムス風
  • 春菊のナンプラー漬け
  • キノコのアチャール
  • 大根の漬けもの

これらが一つのプレートにバランス良く並ぶ様は、味覚だけでなく視覚にも豊かな満足を与えてくれます。どの副菜も塩梅が控えめで、主菜の輪郭を邪魔せず、それでいて確かな個性を添えているのが印象的でした。

供された一皿の記録(見たままの描写と所感)

写真の俯瞰。周囲に小鉢が配される構成でした。

まず真ん中に形良く盛られた白いライスが視線を受け止め。

上段中央には緑色のペーストで覆われた「サーグチキン」が鎮座。

右上には挽肉の汁気のあるキーマの小鉢。

左下には黄色がかったダール。

上段左にはトマトのような赤いラッサムが配置。

周囲に副菜が点在しておりました。

一口ずつ味わうたびに、味わいの層がゆっくりと開いていきます。

サーグチキンは青菜の香りがしっかりと効いており、鶏肉のやわらかな旨味とスパイスが穏やかに溶け合っていました。

レンコンとネギのキーマは、根菜の歯応えがアクセントになり、挽肉の旨味にシャープな食感を与えておりました。

ラッサムは酸味が効いて口中をさっぱりとリセットしてくれ、ダールはとろりと舌に寄り添いながら全体の輪郭を丸くする働きをしていました。

副菜の小松菜ココナッツや春菊のナンプラー漬けはそれぞれ異なる“口直し”の役割を担い、キノコのアチャールは余韻に乗る香ばしさで後半戦の味の展開を促してくれます。大根の漬けものはやわらかな酸味と食感で、米の合間に挟むと良い小休止になりました。

このようにバラエティ豊かな小皿群を少しずつ組み合わせながら食べ進めることで、長い時間の会話を伴う食事でも飽きが来ず、むしろ会話の節目ごとに新たな味わいを挟める楽しさがありました。

日本酒 — グラスを重ねた四杯

この日は日本酒を四杯いただきました。銘柄は以下のとおりです。

大雪渓(純米吟醸)

長野県の大雪渓酒造が造る酒で、米の旨味を丁寧に引き出す穏やかな設計が特徴です。ふくよかな米の旨味と穏やかなフルーティさがあり、食中酒としての汎用性が高いとされています。

La Jomon(らじょうもん)

「La Jomon」は純米酒を中心に取り扱う専門店のプライベートブランド的な銘柄で、製造は他蔵に委託する形のようです。山廃や出羽の里などの個性ある米・蔵の技術を活かした、落ち着いた旨味のある酒がラインナップされています。今回はこちらの別種類を二杯いただきました。

梅錦(里海の環)

愛媛・梅錦山川の「里海の環」は、雄町(里海米)を用いた純米吟醸で、芳醇で旨味がしっかりと感じられる食中酒です。冷やでもぬる燗でも楽しめる懐の深さがあり、海の幸や塩味のある料理にも合わせやすい設計になっています。

以上のように、この日のラインナップは「味の引き締め」と「米の旨味」のバランスがよく、Spicy と Umami の双方に対応しながら食事を進めることができました。特にラッサムやレンコンのシャープさに対しては、大雪渓やLa Jomonのような透明感のある味わいが口中を整える役割を果たしてくれました。

子連れでの滞在感と空間の使い勝手

今回も2階の座敷席を利用いたしました。

靴を脱いで上がるそのスペースは、畳とフローリングをうまく組み合わせた落ち着きのある造りで、子どもたちが遊びまわれる余白がありつつも、大人が会話を楽しめる絶妙な距離感が保たれていました。

実際に小さなおもちゃを手に遊ぶ子どもたちを見守りながら、私たちは料理と酒をゆっくりと味わうことができました。この点は、Roostが「滞在型」の飲食体験を重視していることの表れだと改めて感じます。

価格と満足度(個人的な所感)

  • 料理(ミールス) ¥1,400 × 2名 = ¥2,800
  • 日本酒(グラス¥500) × 4杯 = ¥2,000
  • 合計:¥4,800

コストパフォーマンスという観点で申しますと、料理の満足度・酒の品質・居心地の良さを総合すると非常に満足のいくレンジだと感じます。

特に家族連れで「滞在」することを前提に作られた空間設計は、子ども連れの我々にとってありがたく、安心して時間を過ごすことができました。

余談 — 食卓の向こう側にある小さな物語

食事の間、隣席の小さなやり取りや、厨房から聞こえる鍋の音、2階の畳の感触—こうした些細な一コマが昼の物語を形作ります。

大きな出来事がドラマを提供することもありますが、日常の断面にあるこうした静かなシーンが、後になってふとしたときに記憶を呼び戻してくれるもの。

この日、友人夫妻と子どもたちの笑顔を見ながら、私はそんな「小さな物語」をたくさん拾い集めることができました。

Roostの黒板に書かれたその日の献立は、他愛のない日常にほんの少しの彩りを添えてくれる、良い仕事をしてくれたように思います。

自分用メモ(業務記録)

日時:2025年12月7日(日) 昼
店舗:Roost
参加者:友人夫妻+息子2名、岩田家(夫婦+娘1名) → 合計7名

注文・会計(今回の実績)

  • 料理:ミールス(¥1,400) × 2名(シェア)
  • 日本酒:グラス(¥500) × 4杯(大雪渓(純米吟醸)1、La Jomon 別種類2、梅錦 里海の環1)
  • 会計合計:¥4,800(料理¥2,800 + 日本酒¥2,000/領収書参照)

割引・備考:特にクーポン等の使用なし。子ども関係は軽食を持参し対応。

食味評価(短く業務メモ風)

  • サーグチキン:青菜(ほうれん草系)の香りが前面。鶏のやわらかさとスパイスの調和良好。食中酒にも合う穏やかな輪郭。
  • レンコンとネギのキーマ:レンコンの歯ごたえが良いアクセント。挽肉の旨味と相まって、食感・旨味のバランスが良い。
  • ラッサム:酸味がはっきりしており、口直しとしてのリセット力が高い。辛味は強くなく、食事のテンポを整える働き。
  • ダール:とろみがあり全体を丸くまとめる。副菜と合わせると味が深まる。
  • 副菜群(小松菜のココナッツ、里芋のフムス風、春菊のナンプラー漬け、キノコのアチャール、大根の漬けもの):塩梅控えめで、各々が「口直し」「箸休め」「味の変化」をうまく担っている。
  • 総合所感:一皿で味の振り幅があり、家族やグループでシェアするのに適している。子連れ滞在でも飽きさせない構成。

日本酒(食中・味の相性メモ)

  • 大雪渓(純米吟醸):透明感がありラッサムやシャープな副菜と好相性。口中をきれいに整える。
  • La Jomon(2種類):柔らかな米の旨味で、ダールやサーグチキンと相性が良い。複数種類あるため選択で印象が変わる。
  • 梅錦 里海の環:旨味がしっかりしており、濃いめの副菜や味の濃淡がある料理に耐える懐の深さ。

空間・滞在感(運用メモ)

  • 2階座敷を利用。子連れでの滞在に非常に適している(遊ぶ余白あり、親がゆっくりできる)。
  • 黒板メニューは写真素材として使いやすく、記事のリードやキャプションに最適。
  • キッチンの生活音が程よく、滞在感(居心地の良さ)を演出している。

次回チェックポイント(改善・比較項目)

  1. ミールスを2人分でシェアして、副菜の取り分けバランスを確認(副菜の割合が変わるか)。
  2. La Jomon の別銘柄ごとの比較を行い、食中酒としての最適候補を決定する(例:山廃系/速醸系で違いをチェック)。
  3. 来訪時に黒板の全メニューを撮影して、文字起こし(正確な副菜名の確認)を行う。
  4. 子どもメニューや追加の軽食オプションがあるか確認(次回子連れ対応をより円滑にするため)。

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