【伊豆長岡・伊古奈荘】宿泊記・第1部

【伊豆長岡・伊古奈荘】宿泊記・第1部

到着から初日の夕食まで

9月10日、火曜日。

伊豆長岡の老舗旅館「伊古奈荘」へ、私たち家族3人で2泊3日の滞在。

今回の旅行は、温泉と食事をしっかりと堪能することを目的とした、久しぶりの「連泊」。

チェックイン後のゆったりとした時間の流れに身を置くだけで、すでに旅が成功したような、そんな静かな喜びがありました。

重厚で上品な佇まいに迎えられる玄関

伊古奈荘の玄関は、古き良き旅館の風情をきちんと残しながらも、手入れされていることがよく伝わってくる佇まいでございます。

木の香りと、ほのかに漂う畳の匂いが混ざり、到着の瞬間から気持ちがふっと軽くなりました。

娘も、館内に一歩入った途端、きょろきょろと興味津々。

ロビーは広すぎず、落ち着きがあり、旅の緊張をやさしくほどいてくれるような空間でございました。

まずは部屋へ。広々とした空間と、自家源泉付きの贅沢

今回の部屋は、広めの和室に加えて、客室専用の温泉風呂が備えられた造り。

連泊にはこの上ない環境で、まだ荷物もほどいていないのに、すでに「ここに2泊できるのか…」と。

胸の奥がほっと温かくなるような感覚がありました。

娘は布団の上を行ったり来たりしながら、小さな冒険の始まりを楽しんでいるようでした。

館内めぐりと、まずは最初の温泉へ

荷物を置いたあとは、館内の浴場の下見をしてから、そのまま初めての入浴へ。

伊古奈荘には、

  • 大浴場(内湯)
  • 貸切露天風呂1
  • 貸切露天風呂2
  • 客室露天温泉

と、4種類もの温泉が用意されており、この段階で「これは全部入らないといけないな…」と自然に笑い合ってしまうほどの充実ぶりでございました。

一番最初の温泉は、内湯。

湯温はやや高めで、身体の芯にじんわりと届く心地よさが広がります。

湯面から立ち上がる湯気の香りはまろやかで、伊豆長岡の温泉らしい柔らかさ。

壁や天井から染み出すような静けさがあり、「あぁ、これが伊古奈荘の温泉なのだな」とすぐに理解できる湯でした。

一度部屋に戻り、湯上がりのビールでひと息

内湯でしっかり温まったあとは、部屋に戻ってビールを一杯。これがまた最高です。

娘はすでに昼寝の時間に入り、布団で静かに寝息を立て始めていたため、部屋に戻るとふっと空気が落ち着き、旅の贅沢がじわりと深まりました。

夕食は「新緑伊豆の国御献立」ー丁寧に構成された、伊古奈荘らしい品のある和会席

そして、この日の最大の楽しみのひとつであった、初日の夕食。

いただいた献立表は「新緑伊豆の国御献立」と題されており、伊豆の山海を取り入れた丁寧な和会席。

以下は、お品書きをもとに、実際の流れに沿って丁寧に書き直した内容です。

● 先付

  • 小松菜としめじの和え物
  • 胡麻豆腐

優しい味わい。胃が穏やかに動き始めるような一皿。

胡麻豆腐のなめらかさが特に印象的で、最初から上品なスタートです。

● 前菜

  • バイ貝美煮
  • 鴨スモーク
  • 帆立柚子胡椒
  • 苺桃チーズ
  • 枝豆

少量ずつの盛り合わせながら、味わいに変化があり、お酒を誘う構成に。

バイ貝の甘煮は伊豆らしさがあり、鴨スモークは香りがよく、ゆっくり噛みしめたくなる旨さでした。

● 造り

  • 帆立
  • 赤海老

どれも鮮度が良く、特に赤海老はねっとりとした食感が印象的。

連泊初日の刺身として申し分ない完成度でございました。

● 焼物

  • 赤魚幽庵焼き

幽庵地の香りがふわっと広がり、脂の乗り具合もちょうど良く。

ご飯が欲しくなる一品でした。

● 鍋物

  • 豚しゃぶ
  • 野菜

シンプルだからこそ素材の味がよく分かる鍋。

やわらかい豚肉に、昆布だしがすっと馴染み、体へ静かに染み込んでいくようでした。

● 揚物

  • 天ぷら
  • 野菜

衣が軽く、油の質が良いことが伝わります。

ぷりっと弾力があり、温泉旅館の揚げ物としてはかなり完成度が高い印象でした。

● 食事

  • ご飯
  • 香の物
  • 赤出汁

ここに来てほっとする王道の組み合わせ。

赤出汁がほどよい塩味で、会席の締めにふさわしい落ち着きがありました。

● 水菓子

  • 抹茶羊羹
  • オレンジ
  • リンゴ

甘さ控えめの抹茶羊羹が、食後の余韻を穏やかに整えてくれました。

食後、ふたたび温泉へ

夕食のあとは、娘が眠りにつくのを待ってから、また温泉へ向かいました。

内湯とは違う露天風呂に入り、夜風に吹かれながら湯に浸かる時間は、旅先でしか味わえない贅沢でございます。

天井を見上げれば、薄曇りの空の中に星がうっすらと浮かび、湯面から立ち上がる白い湯気が静かに揺れていました。

そして、夜の締めは部屋温泉

娘が完全に眠ったあとは、部屋付きの温泉にもう一度ゆっくりと。

連泊だからこそできる、この贅沢な重ね湯。身体がふわっと軽くなり、布団に入った瞬間に深い眠りに落ちていきました。

次回(第2部・第3部)予告

翌朝の朝食、二日目の過ごし方、2泊目の夕食、そして最終日に向けてのまとめ─

伊古奈荘の魅力をさらに深掘りしてまいります。

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