到着16:00、湯を巡る一夜 — 3つの湯が紡ぐ時間
2025年4月8日。春の深まりを感じる火曜日。

私たちは大江戸温泉物語・鳴子温泉幸雲閣に到着しました。

チェックインは16時。

旅の出だしはいつもそうですが、宿に着いた瞬間に旅のテンポがひとつ下がるような安心感があります。

今回は1泊2食付きのプランで、18時からの夕食を楽しみにしつつ、まずは湯に向かうことにしました。

幸雲閣は、鳴子温泉の豊かな源泉を活かした宿です。館内の案内にもある通り、ここでは自家源泉を含む複数の泉質を楽しむことができ、浴場は本館と別館、そして湯めぐりの湯を合わせて複数あるのがひとつの魅力です(館内設備・温泉の案内参照)。
3つの湯を巡る、という贅沢
幸雲閣の魅力は何といっても「湯のバリエーション」。
宿の説明や宿泊者のレビューにもあるとおり、黒湯・白湯といった異なる泉質を立て続けに楽しめる点が印象的でした。鳴子は全国でも湯の種類が豊かな温泉郷として知られますが、ここ幸雲閣でもその多様性が存分に味わえます。
私たちは到着後すぐに湯支度をして、まず一つ目の浴場へ。
夕暮れどきに入る湯は、外の光が湯面に揺れて、昼とは違う静けさを与えてくれます。短時間の滞在でも、時間帯を変えて三度入るだけで、体と気分に確かに変化が出るのが温泉の面白さです。
一つ目:本館大浴場(黒湯の表情)
最初に入ったのは本館の大浴場。

ここは黒っぽく濁った湯が特徴で、肌触りがしっとりと残るタイプ。湯に浸かった瞬間、皮膚の表面がふっと柔らかくなるような感覚があり、湯上がりのしっとり感が長く続きます。

内湯から外の景色を眺めやすい設計で、窓越しに見る里山や庭の風情が心をほどきます。
宿の案内にもあるように、黒湯は「にごり湯としての存在感」が感じられ、湯治にも親しまれてきた系統の湯です。
二つ目:別館・大浴場(白湯の爽やかさと渓流の音)
二つ目は別館の大浴場へ。

こちらは比較的透明感のある湯(白湯に近い泉質)で、浴場から見える景観が印象的でした。

湯に身を委ねると、蒸気が顔を撫で、周囲の木々の鳴き声や渓流のさざめきが静かなBGMとなります。
湯の温度も入りやすく、長湯を楽しめるのがうれしいところ。宿の構成上、別館の湯も使えることで泉質の違いを体感しながらの湯巡りが可能になっているのが魅力です。
三つ目:滝の湯(朝の始まりとともに)
三つ目は滝の湯(白湯)。

朝、食事のあとにもう一度温泉へ向かうと、三つ目の湯がじんわりと身体に馴染みます。

入浴後は部屋に戻ってからも心地よい余韻が続きました。
四つ目:百畳露天風呂(閉鎖中)

※残念なことに閉鎖中でした。
鳴子温泉には複数の浴場があるため、それぞれの湯の設えや温度の違いが「連続した小さな発見」を与えてくれます。
宿泊者のクチコミにも「たくさんの湯を楽しめた」という声が多く、湯めぐり好きにはたまらない構成となっています。
夕食と飲み物のこと(食の回想)
この日の夕食は18時から。

バイキング形式で、品数はしっかりめ。

しかし、娘の機嫌があまり良くなく、多くは食べられませんでした。

それでも写真で残した3品はとても美味しく、印象に残りました。

家族旅行ではこうした「食べられない日」もあるもの。無理に食べさせるよりも、好きなものだけをゆっくり味わわせる。そんな時間の柔軟さも旅のいいところです。

今回のプランに飲み放題を1名分付けており、運転手であった私に許可が出ました。

夕食時に数杯、温泉と酒の組合せを気楽に楽しめるのも、宿泊の楽しみのひとつです。

宿の夕食やバイキングは地元食材を活かした品揃えが評判で、クチコミでも高評価のポイントになっています。
家族での湯めぐり・過ごし方の工夫
娘があまり食べなかった夜のことを考えると、幸雲閣のように館内に娯楽や湯浴みの選択肢が豊富な宿は本当に助かるのではないかと。
子どもの機嫌が悪いときは、まずは部屋でしばし休ませ、親が交替で温泉に行く。あるいは、食後に軽く散歩をしてから湯に浸かる。
こうした小さな導線の調整で家族全体の満足度は格段に上がります。
館内にはカラオケやゲームコーナー、売店などの設備も整っています(宿の施設案内参照)。

子連れでも飽きにくい配慮がなされているのも嬉しい点。

旅の途中で子どもがぐずったとき、ちょっとした遊び場や売店でのお土産選びが場を和らげてくれます。
湯上がりの静けさと夜の余韻
温泉をめぐった夜は、部屋で軽くビールを一杯、ハイボールを一杯と繰り返して、温泉の余韻をゆっくりと味わいました。
湯で温まった体は夜更けにも穏やかで、よく眠れそうな充足感が。湯めぐりがあったからこそ朝の目覚めがしっかりできるという安心感があります。
宿の周辺・アクセスや実用情報
幸雲閣は鳴子温泉駅から徒歩でもアクセス可能な立地。

送迎サービスを実施している場合もあるとのこと。チェックインは15:00〜の案内が標準のようですが、到着時間の詳細は予約確認時に宿に直接お問い合わせください。
また、館内の浴場は深夜時間帯に閉鎖されるため、入浴時間帯は事前に確認しておくのが安心です。
まとめ — 三つの湯でつむいだ短い旅
幸雲閣での1泊は、湯に支えられた静かな贅沢の連続でした。

到着してからチェックアウトまで3度湯に入り、それぞれの浴場が見せる顔を味わったことで、短い滞在でも旅の厚みをしっかり感じることができました。
家族での旅は予定通りにいかないこともありますが、湯の持つ柔らかさが不機嫌を溶かし、家族の時間を穏やかに整えてくれるのだと改めて思います。
鳴子の湯の多様性を味わいたい方、湯めぐりが好きな方には特におすすめしたい宿。次に訪れるときは、娘のご機嫌がよいことを祈りつつ、じっくり湯の旅を続けたいと思います。