「胃酸逆流・胸やけ」への静かなアプローチ
夜遅くまで杯を重ねた翌朝。
目覚めた瞬間、喉の奥から酸っぱい感覚が込み上げてきて、胸のあたりがじんわりと焼けるように重たい。これがいわゆる 胃酸逆流や胸やけ の典型的な症状です。
アルコールの後に現れるこの感覚は、単なる「不快」では片づけられないものがあります。ではなぜ起きるのか、そしてどのように回復へと向かうのかを整理していきましょう。
胃酸逆流のメカニズム
- アルコールには 胃酸分泌を促進する作用 があります。
- 同時に 下部食道括約筋(LES) をゆるめるため、本来逆流を防ぐ仕組みが弱まり、酸が上がってきやすくなる。
- 特にワインやスパークリング系、強い蒸留酒などを空腹で飲むと、この傾向は強まります。
つまり、夜遅くに飲み、横になればなおさら酸は逆流しやすい。これは多くの人が経験する「飲んだ翌朝の胸やけ」の理由です。
対処の第一歩:体勢を整える
- すぐに横にならない
飲んだ直後の睡眠は逆流を悪化させます。
翌朝つらいときは、なるべく 上体を30度ほど起こした姿勢 で休むのがよい。 - 右を下にして寝ない
胃の出口が右側にあるため、右を下にすると逆流しやすくなります。
仰向けか、左を下にする方が楽になります。
体内からのアプローチ
- 水分補給
まずは常温の水。冷たい水は刺激になる場合もあるので控えめに。 - 味噌汁・スープ
塩分とミネラルが補給でき、胃をやさしく守ります。 - 乳製品(ホットミルクやヨーグルト)
一部の人には胃酸を中和する効果がありますが、逆に重たく感じることもあるので体調に合わせて。 - ショウガ湯やハーブティー
胃の動きを整える作用が期待できます。
ツボでのサポート:「内関」×「足三里」
すでにシリーズで登場しているツボですが、胃酸逆流にも大変有効です。
- 内関(ないかん)
手首のしわから指3本分下の、2本の腱の間。
胃のむかつきや吐き気を鎮める即効ポイント。 - 足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側から指4本分下。
胃腸全般の調子を整える「万能のツボ」と呼ばれます。
指でじんわり押して、呼吸を整えながら1〜2分刺激すると、胸のあたりがすっと軽くなることがあります。
翌日に向けての静かな工夫
- 夜遅くの食事と飲酒はなるべく避ける
- 炭酸や柑橘系を飲み過ぎない
- 睡眠前に枕を高めにして休む
どれも小さな工夫ですが、積み重ねで翌朝の快適さは大きく変わります。
まとめ
二日酔いの胸やけは、胃酸と重力のせめぎ合い。
そこに静かに寄り添うのは、姿勢と水分、そして体の声を聴く小さな習慣。
酒を楽しむからこそ、翌朝をどう過ごすかに工夫を。
「胃酸逆流・胸やけ」もまた、身体からのサインのひとつ。それを受け止めながら、次の一杯をより豊かに味わう準備を整えていきましょう。