はじめに
12月16日、火曜日。伊勢・猿田彦神社。
空気は澄み、冷たさの中に凛とした緊張感。
猿田彦神社という場所柄もあってのことか。
「お祝いの席」でありながら、どこか背筋が自然と伸びるような感覚がありました。
この日の婚礼披露宴で供された料理と酒。
結論から言えば、料理が素晴らしいのはもちろんのこと、飲み物に関しても「飲み放題」という言葉から想像するレベルをはるかに超えていました。
以下、当日の様子をできるだけ詳細にレポートします。
まずはシャンパンで乾杯
JOSÉ MICHEL(ジョゼ・ミシェル)
披露宴の幕開けはシャンパン。
ボトルには JOSÉ MICHEL の文字。「Prémiers(プルミエ)」の表記が見えたので、おそらくプルミエ・クリュクラスのもの。
ひと口目。泡は細かく、立ち上がりは穏やか。酸はシャープすぎず、果実味が前に出るタイプで、祝いの場に非常に合う味わい。
正直に言えば、「飲み放題の最初の一杯」という先入観は、完全に裏切られました。
おかわりを勧められ、ありがたく二杯目。妻も二杯。
この時点で、すでに披露宴の“質”を確信します。
アミューズの盛り合わせ
シャンパンとの相性がすべて
アミューズは盛り合わせ。
中でも印象に残ったのは マカロン。
甘さが前に出すぎず、シャンパンの酸と泡を邪魔しない設計。デザート的でありながら、完全に「前菜」の立ち位置を守っています。
他の小さな一品一品も、
- 香りが強すぎない
- 油分を引きずらない
- 次の料理への橋渡しになる
そういう役割を、きちんと果たしていました。
カルパッチョとともに、白ワインへ
POUILLY-FUISSÉ 1ER CRU 2022
ここで白ワインにチェンジ。
サーブされたのは POUILLY-FUISSÉ(プイィ・フュイッセ)1er Cru 2022。
…正直、驚きました。これは飲み放題で出てくるワインではありません。
香りは白桃、熟したリンゴ、ほんのりナッツ。樽のニュアンスは控えめで、ミネラル感がしっかりと下支えしている。
そこにカルパッチョ。
サラダの青味、ドレッシングの酸、それらを包み込みつつ、ワインが主張しすぎない。
「料理のためのワイン」という言葉が、これほどしっくりくる場面も珍しい。
紫芋のポタージュ
白ワインは、そのままで
紫芋のポタージュ。
色味のインパクトに反して、味わいは非常に上品。
甘さはあるが、重くない。舌に残るのは芋の自然なコク。
ここでも白ワインを継続。ポタージュの甘みと、プイィ・フュイッセの果実味が、驚くほど噛み合います。
「合わせに来ている」
そう感じさせる組み立てでした。
黒鮑のステーキ
この日の白ワインのピーク
次に供されたのが 黒鮑のステーキ。
まずサイズに驚く。「披露宴のコースだから」という遠慮は一切なく、しっかりと“鮑を食べた”と実感できるボリューム。
火入れは絶妙。硬さはなく、噛むほどに旨味がにじみ出る。
ここで白ワインが完全に開きます。貝類特有のミネラル感と、ワインのミネラルが重なり合い、余韻が非常に長い。
正直、この一皿とワインだけで、かなり満足してしまいました。
松阪牛のステーキ
赤ワイン、ブルゴーニュ
メインは 松阪牛のステーキ。
文句なし、迷いなし。「美味い」の一言に尽きます。
脂は甘く、噛み締めるほどに旨味が広がる。
合わせる赤ワインはブルゴーニュ。
グラス提供のため銘柄は不明ですが、ピノ・ノワールらしい華やかな香りが前面に出るタイプ。
タンニンは穏やかで、松阪牛の脂を切りながら、香りで余韻を伸ばす。
二杯いただきました。ここは躊躇しません。
デザートとコーヒー
最後まで隙がない
デザート盛り合わせ。
どれも甘さは控えめ。食後でも重くならない設計です。
- プリン
- ショコラ(生クリーム添え)
- チーズケーキ
- マカロン
最後にコーヒー。猿田彦神社の披露宴らしく、全体を通して「品」が崩れないまま、幕を閉じました。
まとめ
「飲み放題」という言葉を疑った日
今回の披露宴で強く感じたのは、料理と酒に対する本気度。
シャンパン、白ワイン、赤ワイン。
どれも「とりあえず」ではなく、きちんと料理と向き合って選ばれている。
祝いの席でありながら、飲み手・食べ手も満足させる。
伊勢、猿田彦神社。
その土地と場の力も含めて、非常に記憶に残る披露宴でした。