はじめに
12月15日、月曜日。伊勢志摩から松阪へ。
牡蠣を食べ、酒屋に立ち寄り、一本の日本酒を選び終えたあと。この日の旅の余韻をもう少しだけ引き延ばしたくて、松阪駅前を歩いていました。
そこで目に入ったのが、「日本酒飲み比べ 800円」という文字。
場所は、松阪駅前の喫茶スィード。
いわゆる“日本酒バー”ではありません。昔ながらの喫茶店の空気を残しながら、静かに地酒を楽しめる、少し不思議で、しかしとても松阪らしい場所です。
喫茶スィードという空間
店内は落ち着いた照明。派手な演出はなく、会話の音量も自然と抑えられる。
観光客向けに作られた空間ではなく、地元の日常の延長線上に日本酒がある─そんな雰囲気です。
コーヒーや松阪牛のメニューと並んでの日本酒。この距離感が良い。
「飲むぞ」と気合を入れる場所ではなく、“味を確かめる”ための場所。
今回の旅の流れを考えると、この喫茶スィードでの一杯は、まさにちょうどよい着地点でした。
日本酒飲み比べ(800円)
運ばれてきたのは、下のとおり、三種の日本酒。
- 極上 宮の雪
- 鉾杉 伊勢國参り
- 鉾杉 秀醇
それぞれに名前札が添えられ、金色の盆の上に、静かに並べられています。
量は決して多くありません。しかし、この「少量で比べる」という行為こそが、今回の主題でした。
極上 宮の雪 — 柔らかさの基準点
まずは、極上 宮の雪から。
口に含んだ瞬間、最初に感じるのは、やわらかさ。
角がなく、丸みがあり、口当たりが非常に穏やか。甘みは控えめながら、米の旨味がじんわりと広がる。
派手な主張はありません。しかし、基準点として非常に優秀。
この酒を最初に飲むことで、舌が整い、次の酒との違いがはっきりしてきます。
鉾杉 伊勢國参り — 食と歩む酒
次に、鉾杉 伊勢國参り。
名前からして、“旅の酒”という印象がありますが、味わいもその名にふさわしい。
宮の雪に比べると、一段、旨味が前に出くる味。酸味とコクのバランスが良く、食事の記憶を呼び戻す酒。
牡蠣を食べた後だったからこそ、この酒の「寄り添い方」がよくわかりました。
単体で飲むよりも、何かを食べながら、あるいは食後の余韻とともに。
そんな場面で、真価を発揮するタイプです。
鉾杉 秀醇 — 余韻の輪郭
最後は、鉾杉 秀醇。
口に含むと、他の二つよりも、輪郭がはっきりしているのが印象的。
香りは控えめながら、含み香と後味に、しっかりとした存在感が。
余韻が長く、一口飲んで、自然と間が生まれる。
この酒は、静かな場所で、少し考え事をしながら飲みたい。
喫茶スィードという空間に、とてもよく合っていました。
三種を比べて思うこと
800円で、これだけ性格の違う酒を、落ち着いた環境で比べられる。
これは、単なるサービスではありません。
「味を知るための時間」が、きちんと用意されている。
派手な説明はなく、スタッフが酒を語りすぎることもない。
だからこそ、飲む側が、自分の感覚に集中できます。
松阪という土地と、日本酒
松阪は、松阪牛だけの街ではありません。
酒が、観光資源としてではなく、生活の一部として存在している。
酒屋があり、喫茶店で飲み比べができ、そしてそれが特別扱いされない。
この流れが、とても心地良いのです。
旅の締めとしての一杯
牡蠣を食べ、酒を買い、最後に静かに比べる。
この一連の流れの中で、喫茶スィードの日本酒飲み比べは、旅を「味の記憶」として整理してくれる存在でした。
量は少ない。しかし、満足度は高い。
松阪駅前で、少し時間が空いたとき。あるいは、次の電車までのひととき。
喫茶スィードは駅から徒歩1分の距離、そんなときにぜひ立ち寄ってほしい場所です。
この後は大人しくホテルへと帰りました。
自分用メモ(業務記録)
- 日時:2025年12月15日(月)
- 店舗:喫茶スィード(松阪駅前)
- 内容:日本酒飲み比べ
- 価格:800円
- 酒種:
・極上 宮の雪
・鉾杉 伊勢國参り
・鉾杉 秀醇 - 所感:
少量で比較できる点が非常に良い。
酒の個性が明確に分かれ、食後・移動途中の立ち寄りに最適。
松阪という土地の日常性を感じられる体験。