はじめに
2020年7月19日。
娘が生まれる前、そして「コロナ禍」という言葉が生まれたての頃。
当時の私たちは、ホテルやレストランのバーで不定期に開催されていたシャンパン・フリーフロー(飲み放題)の催しに、よく足を運んでいました。
今回振り返るのは、銀座・リストランテ・アルマーニ(ARMANI / RISTORANTE)。
ファッションブランド「ARMANI」の名を冠したこのレストランは、料理、空間、サービス、そのすべてに“アルマーニらしさ”が宿る場所です。
ARMANI / RISTORANTE という空間
リストランテ・アルマーニは、銀座タワーの上階に位置し、イタリアンをベースにした洗練された料理と、ブランドの美学を体現した空間設計が特徴のレストランです。
無駄を削ぎ落とした内装、抑えた照明、静かに流れる時間。
いわゆる「にぎやかなバー」とは対極にあり、会話とグラスの音だけが自然に響く、大人の空間でした。
シャンパンフリーフローの内容
この日のフリーフローは、2時間制のシャンパン含む飲み放題。
選ばれていたシャンパンは一本のみ。しかし、その一本が強い。
マム・コルドン・ルージュ(Mumm Cordon Rouge)
フランス・シャンパーニュ地方を代表する名門メゾン、G.H.マム(Mumm)のフラッグシップ。
赤いリボンを思わせるラベルは、世界中のF1表彰式でもおなじみで、「祝福のシャンパン」としての地位を確立しています。
味わいの特徴
- すっきりとした辛口
- 柑橘系の爽やかな酸
- 食事と合わせても飲み疲れしないバランス
フリーフローに選ばれるシャンパンとして、これ以上ないほど 理にかなった一本 だと感じました。
価格と満足度
価格は、一人あたり7,000円弱。
正確な金額は記憶にありませんが、グラスが空くたびに注がれるシャンパンのペースを考えれば、確実に“元は取れている”内容だったと思います。
何杯飲んだかは、もはや数えていません。
ただ、それくらい 自然に、無理なく飲めてしまう シャンパンでした。
写真のメニューが語る、アルマーニの美学
APERITIVO ARMANI 2020
この日のフリーフローには、写真にある 「APERITIVO ARMANI 2020」 のアミューズがセットで付いていました。
いわゆる“軽食”という言葉では片付けられない、一つひとつに意味のある、小さな料理たちです。
以下、写真メニューを一品ずつ振り返ります。
スモークサーモン/パンブリオッシュ/緑パプリカのソース
Smoked Salmon, Brioche
Green Bell Pepper Sauce
脂ののったスモークサーモンを、甘みのあるブリオッシュが優しく受け止める一品。
そこに、緑パプリカのソースが加わることで、シャンパンの酸と美しく重なります。
泡を一口含み、サーモンを一切れ。この流れだけで、もう十分に“アルマーニ”でした。
オマール海老とオレンジ、アーモンドのサラダ
Lobster, Orange and Almond Salad
華やかさの象徴とも言える一皿。
オマール海老の甘み、オレンジの酸味、アーモンドの食感。
マム・コルドン・ルージュのドライさが、この料理を非常に上品にまとめていました。
ビーツのピアディーナ/クラテッロ
Beets Piadina and Culatello
イタリアらしい素材使い。ビーツの土っぽさと、クラテッロ(熟成生ハム)の旨味。
シャンパンの泡が、口の中を一度リセットしてくれるため、重さを感じさせません。
ズッキーニのブリュレ/ブッラータチーズ
Zucchini Brulee and Burrata Cheese
甘みを引き出したズッキーニと、ミルキーなブッラータ。
これはもう、泡を飲むための一皿 と言っても過言ではありません。
ミニ・パルミジャーナ
Mini Parmigiana
小さいながらも、トマトとチーズの力強さが際立つ一品。
シャンパンの酸味が、この料理の輪郭をはっきりさせます。
モッツァレラチーズとパンのフリット、アンチョビ
Mozzarella Cheese and Bread Fritters, Anchovies
塩味、油、チーズ。それをすべて洗い流す泡。
フリーフローの後半に来ると、この組み合わせのありがたさがよく分かります。
ブラックオリーブのフリット
Black Olive Fritters
ワインバーらしい一皿。
噛んだ瞬間の香りと、シャンパンの余韻が心地よく残ります。
オレンジマリネのオリーブ
Mixed Orange Scented Olives
口直しとしても完璧。
泡のキレを邪魔しない、計算された味わいです。
ナッツのバリエーション
Almond, Peanuts, Cashew Nuts
最後まで、「飲む時間」を邪魔しない存在。
アルマーニのフリーフローは、あくまで主役はシャンパン。
料理はそれを引き立てる名脇役でした。
2時間という、ちょうど良い贅沢
2時間たっぷりと、空間とドリンクに身を委ねる。
騒がしさはなく、急かされることもない。
シャンパンを飲み、小さな料理をつまみ、静かに会話をする。
今思えば、とても贅沢な時間でした。
まとめ
シャンパンは、空間で飲むもの
銀座・リストランテ・アルマーニでのシャンパンフリーフローは、「どれだけ飲めたか」ではなく、
- どんな空間で
- どんな料理と
- どんな気持ちで飲んだか
を、強く記憶に残す体験でした。
娘が生まれる前、コロナ禍の前。
もう戻らない時間だからこそ、こうして振り返る価値があるのだと思います。