静かな朝、まずは湯から始める
翌朝。目覚めは自然。目覚ましは不要。旅先の朝というのは、どうしてこうも穏やかなのでしょう。
まずは部屋の温泉へ。夜の名残を残したまま、静かに湯に。
朝の湯は、夜とは少し表情が違う。身体を「ほどく」というよりも、「整える」感覚に近い。
これから動き出す一日に向けて、静かにスイッチを入れてくれます。
朝の大浴場へ、贅沢な時間
部屋風呂のあと、大浴場へ。朝の時間帯は、やはり人が少ない。
露天風呂に出ると、空気が澄んでいる。前日の喧騒が嘘のよう。
この旅、チェックアウト前までに合計4回、大浴場と部屋の温泉を行き来したことになる。
回数を数えること自体に意味はないが、それだけ「入りたい」と思わせる湯だった、ということです。
朝食、派手さよりも安心感
朝食の時間。派手さはないが、きちんとした和朝食。
一品一品が、身体に負担をかけない。昨夜、しっかり飲んだ身体を、優しく受け止めてくれる構成。
温泉宿の朝食というのは、「美味しい」以上に、「ちょうどいい」ことが大切なのだと、改めて感じました。
食後、部屋に戻り、最後にもう一度温泉へ。
名残湯、という言葉がしっくりくる。
チェックアウト、しかし旅は終わらない
チェックアウト。しかし、この日の楽しみは、まだ続きます。
一の湯グループの宿泊客は、チェックアウト後も系列店の温泉に入浴可能という、ありがたい仕組みが。
向かったのは、一の湯本館。
一の湯本館、安心感のある場所
本館は、使い勝手がよく分かっている場所。勝手知ったる、という言葉がぴったりと。
もう一度、しっかりと温泉に浸かる。
そして、風呂上がりのお楽しみ。ロビーでビールを飲みながらの一息。
これで、この旅の温泉は完全に締まります。
自動販売機のビールが、異常に美味い
本館のロビーには、自動販売機。ここで売られているビールが、とにかく冷えているのです。
「なぜ、ここまで冷えているのか」理由は分からないが、とにかく美味い。
風呂上がり、歴史ある建物のロビーで飲む一本。これ以上の贅沢があるのだろうか。
この一杯のために、チェックアウト後に本館へ立ち寄る価値は、十分にあります。
箱根湯本の喫茶店「ゆとりろ」へ
最後に立ち寄ったのは、箱根湯本の喫茶店、「ゆとりろ」。昔ながらの、落ち着いた空間。
観光地にありながら、どこか時間がゆっくり流れている。こういう店が、まだ残っているのが箱根の良さだと思うのです。
ここではコーヒーを一杯。派手な演出はないが、丁寧に淹れられているのが分かる味です。
ここでようやく、「旅が終わる」という実感が湧いてきます。
旅を振り返って
今回の一の湯新館での一泊二日。豪華な設備や、特別な出来事があったわけではありません。
しかし、
- 良い温泉に何度も入れること
- 無理なく飲める酒があること
- 静かに過ごせる時間があること
この三つが揃えば、旅としては十分すぎるのです。
コロナ禍という、少し特別な時期だったからこそ、「当たり前のありがたさ」を、より強く感じた旅でありました。
また、季節を変えて訪れたい。そんなことを思いながら、箱根を後にしました。
—これにて、一の湯 新館の旅は完結です。