【会津屋】海風と、元祖たこ焼きの素朴なうまさ

はじめに

9月18日、木曜日。

大阪の海沿いにある天保山マーケットプレイス。

アクアライナーの波音がゆるやかに届き、潮の香りがほのかに混じった空気が頬に触れていきます。

この日は、外にそびえる巨大な観覧車が暮れていく空の色を受け止めながら、ゆっくりと円を描いていました。

なんとも大阪らしい、華やかで、しかしどこか温かい情景です。

ふと港の方に出てみると、停泊していたのはダイヤモンド・プリンセス号

その白い巨大な船体が海の青を静かに映し返し、短い旅の途中で立ち寄ったような不思議な存在感を放っていました。

元祖たこ焼き—変わらない素朴さ

そんな景色を眺めつつ向かった場所。

たこ焼き発祥の地として名高い 会津屋

今回いただいたのは、元祖たこ焼き(12個入り)700円

そしてコンビニで買ったスーパードライ500ml を片手に、海風に吹かれながらゆっくり味わいました。

会津屋のたこ焼きといえば、一般的な“ソースを塗ったトロトロ系”とは対極の存在。

味付けは何もせず、そのまま、焼き上がりのままを頬張るのが正しい食べ方です。

初めて食べたときには、「ソースがないと物足りないのでは?」と、どこか不安を感じるものですが、いざかじってみると、それは杞憂であることがわかります。

小麦の香ばしさ、だしのやさしい旨味、そして中に入るたこの存在が、驚くほどバランスよく調和し、手さはないものの「芯のあるうまさ」を感じさせてくれます。

これは、“たこ焼きの原点”と言われる所以でしょう。

美味しんぼ七十七巻とのつながり

料理は、物語とともに味わうもの。

会津屋といえば、漫画『美味しんぼ』七十七巻に登場したエピソードが有名です。

かつて大阪で、屋台から始まったたこ焼き文化が、どのようにして今の姿へと進化していったのか。

その中で、「元祖たこ焼き」がいかにして生まれ、どれほどシンプルで、どれほど職人的な味であったかが描かれています。

作中では、“ソースのないたこ焼きは本当にうまいのか”という問いをめぐり、登場人物たちが議論を重ねます。

そして最後に行き着くのは、“素材の味そのものを楽しむ”という原点。会津屋のたこ焼きはその象徴として登場し、味わう者の固定観念を、静かに、しかし確実に揺さぶります。

実際にこうして目の前で食べてみると、美味しんぼで描かれた世界が一気に立ち上がってくるようで、漫画のワンシーンがふと脳裏に浮かびました。

料理は、ただ味わうだけでなく、物語を知ることで深みが増すのだと、あらためて思わされます。

観覧車と船と、たこ焼きの香り

ここでしか味わえない“時間の味”

天保山の観覧車が静かに光り始める時刻。

その光を背景に、スーパードライをひと口。

潮風の匂い、観覧車の音、マーケットプレイスから流れ出るざわめき、遠くに見えるダイヤモンドプリンセス号の影。

そのすべてを包み込むようにたこ焼きのやわらかな香りが漂ってきます。

こういう瞬間は、料理そのものの味だけでなく、「時間の味」まで一緒に味わっている気がします。

会津屋でたこ焼きを食べるという行為が、こんなにも豊かで、こんなにも満ち足りた瞬間を生み出すのだと、しみじみ感じました。

おわりに

天保山でのたこ焼きは、ただの軽食ではなく、大阪という街の歴史と文化をそのまま口に含むような、そんな体験でした。

派手さはないけれど、静かにうまい。

素朴だけれど、深く心に残る。

これこそが、「元祖たこ焼き」の魅力なのだと思います。

自分用メモ

  • 会津屋の歴史:昭和8年創業、ラヂオ焼き→たこ焼きへの変遷を今後の記事で補足しても良い。
  • 美味しんぼ77巻:エピソード解説を別記事化して内部リンクを作るとSEO的にも相性良い。
  • 写真撮影ポイント:観覧車+たこ焼きの組み合わせ、ダイヤモンドプリンセス号が写る海側ショット。
  • シリーズの流れ:天保山→港町→新世界→難波…と巡る“海と街角”テーマで続けるのも良い。

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