はじめに
9月17日、水曜日。深夜。
この日は大阪・鶴橋の路地をひとり歩き、昼間から続く食べ歩きの余韻を胸に、夜の一杯を求めて散策しておりました。
鶴橋といえば焼肉店が軒を連ね、韓国料理の香りが漂う活気ある街ですが、水曜日ということもあり、普段より人出は控えめ。いつも熱気に包まれるエリアが、どこか静かに呼吸しているような、不思議な空気を纏っておりました。
そんな中、ふと目に留まったのが 「BAR Zi-ko(バー ジーコ)」。
古民家をリノベーションしたような佇まいで、柔らかな灯りが外へと漏れ、歩くこちらを誘うかのよう。扉越しに見えるカウンター席、木の温もりを感じる内装、ゆるやかに流れる時間。
「これは、良い夜になる」─そう思わせる雰囲気がありました。
舞台俳優が多く集う、鶴橋の隠れ家バー
入店すると、驚いたのは客層。
偶然だったのか、この日は 舞台俳優のお客さんが多く集まっているとのこと。鶴橋の近くには小劇場や稽古場が点在しており、稽古終わりに一杯やりに立ち寄る役者さんも多いのだとか。
初来店の私は、カウンター越しのバーテンダーさんとゆっくりお話をさせていただきました。
「水曜日は、鶴橋は休みの店が多くて人の流れが少ないんですよ」「だから今日みたいな静かな雰囲気は、水曜日ならではです」
そんな、地元に根ざしたお話が聞けるのも、バー一人飲みの醍醐味です。
店内は、過度に飾らず、しかし必要なものはしっかり整っている。程よい距離感で居心地よく、初めての来店でも無理なく溶け込めるあたたかさ。
照明は暗すぎず、カウンターの木目が美しく映える程よい明るさで、一人でグラスを傾けるのに最適な空間でした。
一杯目:ジントニック ─ 旅の夜を開く、一番やさしい扉
まずは、最初の一杯に選んだのは ジントニック。
透明感のあるジンの香りに、柑橘の爽やかさが優しく広がり、「さて、今夜の時間をゆっくり始めよう」─そんな気持ちに整えてくれる、旅の夜の定番の一杯でした。
炭酸は細やかで、スッと喉を抜けていく。氷の音も心地よく、緊張をほぐし、土地の空気に馴染ませてくれるような、良い一杯でした。
二杯目:マティーニ ─ バーの力量が伝わる、静かな緊張感
二杯目には、少し背筋が伸びるような マティーニ を。
ジントニックとは一転して、しっとりとした大人の雰囲気を纏うカクテル。
注がれる瞬間の緊張感、グラスの持つ冷たさ、くっきりしたアルコールの輪郭。
この店の空気は、こういうクラシックなカクテルがよく似合います。
オリーブの塩味がアクセントになり、最初の爽やかな一杯から、深度をひとつ落とした世界へ導かれていくような感覚でした。
三杯目:マンハッタン ─ 夜に沈んでいく芳醇さ
最後に選んだのは マンハッタン。
ウイスキーの豊かな香り、スイートベルモットが加える甘やかな深み、チェリーの余韻が舌の端に静かに残る、食後に最適な一杯。
旅の夜にふさわしい落ち着いた締めであり、「今日は良い日だった」
そう静かに実感させてくれる、余韻の長いカクテルでした。
会計は 4,000円 ─ 適正で、満足度の高い夜
ジントニック
マティーニ
マンハッタン
この3杯で 合計 4,000円。
大阪という土地柄を考えても、バーの雰囲気、バーテンダーさんとの会話、丁寧に作られたカクテルの質を思えば、とても満足度の高い価格設定でした。
まとめ:静かな鶴橋で、心ほどける一人飲み
鶴橋は韓国店ばかりというイメージがありますが、少し視点を変えて歩くと、こんな素敵なバーが息づいているのだと思うと、街の奥行きを感じさせられます。
「BAR Zi-ko」は、一人でも入りやすく、気取らず過ごせ、クラシックカクテルが美味しく、会話を楽しめる落ち着いた空間。
旅行者にも地元の方にも優しいお店でした。
鶴橋の静かな水曜日に、ゆったりとした時間を過ごせたこと。
この夜の3杯は、旅の思い出をぐっと深めてくれました。
自分用メモ
- 日時:9月17日(水)深夜
- 店名:BAR Zi-ko(バー ジーコ)
- 外観:古民家風、小さめ・隠れ家感
- 客層:舞台俳優が多かった
- 水曜日は鶴橋の飲食店が休み多く、人が少なめ
- バーテンダーさんと会話しやすい雰囲気
- 注文
・ジントニック
・マティーニ
・マンハッタン - 会計:4,000円
- 一人飲みに最適。クラシックカクテルが丁寧
- 大阪食べ飲み歩きシリーズの一篇として採用済み