はじめに
10月25日、土曜日。
待ち合わせていた友人が遅れるということで、ひとりで「お酒の美術館」に寄ってまいりました。
店内は“美術館”と名づけるにふさわしく、壁一面にずらりと並ぶボトルが印象的。
驚いたのは、シーバスリーガル12年やジョニーウォーカー・レッドといった“オールドボトル”を提供していて、1杯500円(チャージなし)という価格で楽しめたことです。
今回の訪問は時間調整が主目的でしたが、結果として「良いものを気軽に」「ゆっくり味わえる」良い夜になりました。
以下、当日の流れ・テイスティング・店の構成や背景分析まで、丁寧に記します。
(補足)お酒の美術館は京都発祥で全国展開しているバー・チェーン。オールドボトルを1杯500円〜で提供するスタイルを打ち出しています(チャージ無料の店舗が多く、気軽に入れるのが特徴です)。
到着〜店内の第一印象
12時過ぎに入店。
カウンター席をひとつ確保すると、目の前に並ぶウイスキーの瓶群がまず目に入ります。照明は明るく、ボトルラベルが横並びに“展示”されている様はまさに“お酒の美術館”という趣向。
客層は幅広く、一人でカウンターを楽しむ方、二人連れでじっくり飲んでいる方などが混在していました。スタッフの方はフレンドリーで、ハイボールの好み(炭酸、氷の量)を聞いてから作ってくださったので安心して任せられました。
今回飲んだもの(要点)
- シーバスリーガル12年(オールドボトル、特級表示):ハイボールで一杯。
- ジョニーウォーカー・レッド(オールドボトル、年度不詳):同じくハイボールで一杯。
- 提供価格はどちらも500円。チャージは無し。
店のラインナップは非常に豊富で、珍しい銘柄(終売・休売になったジャパニーズの一部や、イチローズモルトなどの最近注目のクラフトウイスキーまで)も置かれているとのこと。
実際、メニューや棚には厚岸ウイスキーの表記や、かつて市場から消えた「響」「竹鶴」など“入手困難”な銘柄が並ぶことをうかがわせる表記がありました(お店の方に確認すると「仕入れで珍しいボトルが入ることがある」とのこと)。
チェーンの方針として“オールドボトルを一杯ワンコインから”という値付けを前面に打ち出している点も特徴的です。
テイスティング — シーバスリーガル12年(オールド) のハイボール
注意)ここでの「オールドボトル」という表現は、年代物や流通時期が古いラベルのボトルを指します。ブレンド比率や原酒の構成、カットの違いが年により異なるため、同名でもボトルによって風味は変わります。
外観・香り:透明感のある淡い琥珀色。グラス越しに立つ香りは華やかで、蜂蜜、バニラ、やや林檎のようなフルーティさがありました。オールドボトル特有の“やわらかい樽香”が自然に香ります。
ハイボールとしての味わい:炭酸の入りがちょうど良く、口当たりは軽快。原酒の甘みがソーダで持ち上がり、爽やかさとまろやかさの良好な両立が感じられました。余韻にはほのかなスモークとバニラが残り、重すぎず軽すぎずの“ちょうどよい”設計。オールドボトルならではの“角が取れた”丸さがあり、ハイボールで飲むことで香りの立ちがさらに良くなります。
所感:シーバス12の持つ本来の“ブレンデッドらしい丸さ”が、オールドボトルゆえの柔らかなニュアンスと重なり、とても心地よい。ハイボールにすると飲みやすさが増すため、繰り返し楽しめる一杯でした。
テイスティング — ジョニーウォーカー・レッド(オールド) のハイボール
外観・香り:やや深めの琥珀色。香りは麦芽の甘さと軽いスパイス感、昔のブレンド特有の穏やかなモルト感が中心。
ハイボールとしての味わい:レッドラベルとしては比較的柔らかく、ソーダが入ることで飲み口はさっぱり。スモーキーさは控えめですが、ピートの残り香がほのかに感じられ、飲み終わりに心地よい苦味が残ります。ロックよりもハイボール向きに感じる“切れ”があり、食事にも合わせやすい印象でした。
所感:ジョニーレッドというとストレートやロックでしっかりしたキャラクターを想像しがちですが、オールドボトルをハイボールにすると“軽快さ”が際立ち、飲み飽きない一杯となりました。
「ワンコインでオールドボトルが飲める」仕組みについての考察
なぜ店がオールドボトルや希少ボトルをワンコイン(=500円)で提供できるのか、現場の印象と公開情報を基に整理します。
- ボトル単価を分割するビジネスモデル
1本あたりのボトル価格は高くても、グラスでの提供数を多く見積れば1杯あたりの原価は下げられます。またチェーン展開により“複数店舗でボトルを回す”ことでロスを抑え、結果的に1杯の価格を抑えることが可能になります。 - オールドボトルは単体での“体験価値”が高い
顧客は「その1杯」を求めて来店するため、少量提供でも満足度が高く、回転率の高さと相まって採算が取れることが多いです。お酒の美術館側も“美術館”というブランディングで来店動機を作っているように見受けられます。公式情報でも「オールドボトルの品揃えは業界随一」「1杯500円〜」と明記されています。 - チャージなしの戦略
チャージを取らない代わりに、ドリンク回転で収益を上げるモデルです。気軽に入りやすく、1〜2杯でサッと出る客も、じっくり飲む客も取り込めるのが強みです。チェーンの店舗案内にも「チャージ無料・1杯500円〜」の記載があります。
(出典・参考:お酒の美術館公式サイトや店舗案内。実際の運用は店舗により差があるため、来店前に確認するのが確実です。)
珍しいボトルの取り扱いについて(厚岸・響・竹鶴 等)
店内には厚岸ウイスキーなど近年人気のクラフトジャパニーズが並ぶ棚もあり、また「終売・休売のジャパニーズウイスキーを含む希少なオールドボトル」を取り揃えている旨が公式でもうたわれています。厚岸蒸溜所は近年急速に注目を集めている銘柄で、その背景や製法は蒸溜所の公式情報にあります。
注意)“響”や“竹鶴”の一部表記が終売・休売扱いになった時期があり、流通が限定的になっている銘柄も存在します。お酒の美術館のように“オールドボトルを扱う”店では、こうした入手困難な銘柄が棚に並ぶことがあるため、ウイスキー好きにとっては貴重な体験の場となります。
ハイボールで飲むメリット(オールドボトルに対して)
- 香りの“持ち上がり”:ソーダで香りが立ちやすく、オールドボトルの繊細な樽香やフルーティさがより明確になります。
- 飲み口の“軽快化”:ストレートでは重く感じる古いブレンドも、炭酸で引き締めると食中酒として非常に使いやすくなります。
- コストパフォーマンスの最適化:ワンコインで1杯楽しめるため、複数のボトルの個性を“試す”ことが容易になります。
私自身も今回、オールドなシーバス12とジョニーレッドをハイボールで飲み比べることで、同じ“ワンコイン”ながらそれぞれの個性がくっきりと見えて面白かったです。
店舗の実務的な印象(サービス・価格・居心地)
- チャージ無しで入れることの気軽さ:一人で入っても心理的なハードルが低く、仕事帰りの“ちょい飲み”に最適。
- 価格表示の明快さ:「500円〜」のわかりやすいプライシングがあり、迷わず注文できます。
- ボトルの回転・メンテナンス:カウンター越しでボトルを見せつつ丁寧に注いでくれるため、視覚的な満足度も高いです(スタッフの注ぎや氷の扱いも安定していました)。
- 注意点:希少ボトルのラインナップは日替わり・入荷次第のため、目当ての銘柄がある場合は事前に店舗に問い合わせるのが確実です。
総括(私的まとめ)
「お酒の美術館」は、“敷居は低く、体験価値は高い”を体現したバーだと感じました。
オールドボトルをワンコインで味わえるというコンセプトは、酒好きにとって“発見”の場。
今回のシーバス12とジョニーレッドのハイボールは、どちらも“気軽に・美味しく”飲める一杯に仕上がっており、500円という価格はコストパフォーマンスの観点からも満足度が高かったです。
「珍しいボトルをちょっとだけ試したい」「仕事帰りにしっぽり一杯」「オールドボトルの違いを学びたい」—どのニーズにもマッチするお店だと思います。
次回は厚岸のシングルモルトや、店頭で見かけた終売銘柄が入荷していればその1杯もぜひ試して記事にしたいと考えています。
自分用メモ(業務記録)
日時: 2025年10月25日(土)
場所: お酒の美術館
参加者: 私(代表取締役)
目的: オールドボトルのハイボール提供状況の確認・テイスティング(シーバス12年・ジョニーウォーカー・レッド=オールドボトル)・店の価格政策・ラインナップの確認(厚岸などのクラフト、日本の終売銘柄の取り扱い)
飲酒記録:
- シーバスリーガル12年(オールドボトル) ハイボール 500円(チャージなし)
- ジョニーウォーカー・レッド(オールドボトル) ハイボール 500円(チャージなし)
所感: どちらもハイボールで飲むことで香りが開き、比較的軽やかに楽しめた。店のボトルラインナップの幅広さ(厚岸、終売の響や竹鶴などを確認)と“ワンコイン”方針は体験価値が高く、今後も定点観測したい。