【GINの森】全国チャンピオンが作る、昼のカクテル時間

はじめに

9月28日、日曜日。秦野たばこ祭りです。

お祭りの会場へ向かう途中、あるポスターが目に入りました。

出張バーテンダーの「森 健」さん。

ポスターにも大きく掲げられたその名は「カクテル全国チャンピオン」の肩書きをしっかりと示しており、実際にカクテルをいただくと、その格付けに納得がいく職人芸を体感できました。

以下は当日の流れと、私がいただいたカクテルの味わい、会場の雰囲気、出版物の紹介などを丁寧にまとめたレポートです。

イベント告知ポスター。開催は12:00〜19:30(19:00 L.O.)。ドリンクは700〜800円、現金のみの販売との掲示がありました。

会場と時間、運営の要点

会場は「ラーメンおじ屋ひさし」の店内。

GINに特化したブース「GINの森」として出店され、バーテンダー森さんが終日シェイカーを振っていました。案内によるとドリンクは700〜800円、テイクアウト可のものと不可のもの(マティーニはテイクアウト不可」)があり、現金決済のみとの表示がある点は来場者への実務的な注意点です。

19:30からは花火観賞のアナウンスもあり、私たちは昼に訪れましたが、夕方に向けて賑わいが増す構成と思われます。

森 健さん(バーテンダー)について

ポスターによると、森さんは全国大会のタイトル保持者。

著書『糖質オフのダイエットカクテルレシピ50』も刊行されているとのこと。

イベントではその本の紹介も兼ね、工夫を施したカクテルについての短い話を聴く場面もありました。

普段のカクテルの楽しみ方を崩さずに“カロリーや糖質を抑える”一工夫を施すアイデアが詰まっているようで、実際のドリンクにもその哲学が反映されていました。

当日のドリンクメニュー(抜粋)。ジントニック、ジンバック、トムコリンズなど、ジンを主役にした定番が揃っていました。

いただいたカクテル:マティーニとジントニック

私が最初に頼む“いつもの”カクテルはマティーニ、続いてジントニック。

どちらもバーでの初注文に選ぶ定番ですが、森さんの一杯はやはり「目配りと技術」が違いました。

マティーニ(ポスター表記:¥800、テイクアウト不可)

  • ベースとスタイル:ドライ寄りのクラシック・マティーニ。ジンはゴードンを使用と伺いました(ゴードンは柑橘の香りは穏やかで、ボタニカルの青さが程よく効くジンです)。ヴェルモットは少なめに抑えられ、グラスの冷やし方・ステアの具合から余韻に残る香りの制御が読み取れます。
  • 香りと口当たり:一口めは透明感のあるジュニパー(杜松)香がすっと抜け、次にヴェルモットのハーブ感が追ってきます。余韻はすっきりとしていて、レモンピールで仕上げていただき、皮の香りが飲み進めやすさを演出していました。
  • 総評:技術的に非常に安定しており、食前酒として、または料理の合間のリセットとして最適な一本でした。

ジントニック(ポスター表記:¥700)

  • ベースとスタイル:ジンは同じくゴードン、トニックはウィルキンソンで、程よい苦味と柑橘を感じるタイプ。氷の量やグラスのサイズ、ミキシングの強さに細かな工夫があり、単なる「甘くて軽い」飲み物ではなく、ジンのボタニカルが立つ設計になっています。
  • 香りと口当たり:最初の香りはライム、ボタニカルの緑が立ち、トニックの爽快な苦味が後口に引き締めを与えます。暑い昼間に飲むには抜群に相性が良く、飲みやすさと飲みごたえのバランスが程よい一杯でした。
  • 総評:祭り会場という環境を考慮しつつ、ジンの個性を損なわないように構成されたジントニックで、価格帯(700円)を考えると非常に満足度の高い一杯でした。

メニュー構成の面白さと“糖質オフ”の試み

ポスターに挙がっていたカクテル名は、ジントニック、ジンリッキー、ジンバック、トムコリンズ、マティーニのような定番に加え、イベント向けの特製カクテル(「秦野サンライズ」「悪マザーQ」「コーヒージントニック」など)がラインナップされており、来場者は定番と遊びの両方を楽しめます。

森さんの著書『糖質オフのダイエットカクテルレシピ50』に触れられたことからも分かるように、低糖質を意識したジンベースやトニックの選択、甘味の代替手段の提案など、健康面を気にする層にも配慮した提供が行われていると思われます。

イベント出店ならではの“量”や“提供スピード”の制約はありますが、―だからこそ―余計な甘さを抑えつつ素材(ジンやトニック)の良さをストレートに出すという設計は、プロの「引き算」の美学を感じました。

会話と出会いの余韻

短い滞在時間でしたが、森さんと軽く会話する機会がありました。カクテルやバーについて伺うことができ、単に飲むだけでは得られない“職人としての考え方”を垣間見られたのが大きな収穫でした。

イベントでは本の販売も行われていたようで、興味がある方には直接の相談もおすすめです。

(個人的な余談ですが、森さんは過去に私が訪れたことのある新宿三丁目のとあるバーに在籍していたことがあると伺い、「ひょっとすると過去に顔を合わせていたかもしれない」と思わせる一面もありました。こうした“縁”が繋がるのも、出張イベントの愉しさです。)

総括と次回への提案

  • 総括:祭りの陽気な空気の中で、全国チャンピオンの技術を体感できる稀有な機会でした。マティーニ、ジントニックともに完成度が高く、コストパフォーマンスも良好。現金決済という実務的制約はありましたが、現金を用意していれば迷いなく楽しめます。
  • 次回への提案:今回は4回目ということですが、もし次にまた同様のイベントがあるならば、「糖質オフ」系の試作カクテルをリクエストして短いテイスティングをしてもらう、また、可能ならジンの種類を替えてジントニック比較をお願いする―といった楽しみ方をしたいと考えています。出店イベントは短時間で多くの刺激を受けられるので、準備と余裕を持って臨むのが成功のコツです。

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