二日酔いからの脱却シリーズ【第4回】

「胃酸逆流・胸やけ」への静かなアプローチ

夜遅くまで杯を重ねた翌朝。

目覚めた瞬間、喉の奥から酸っぱい感覚が込み上げてきて、胸のあたりがじんわりと焼けるように重たい。これがいわゆる 胃酸逆流や胸やけ の典型的な症状です。

アルコールの後に現れるこの感覚は、単なる「不快」では片づけられないものがあります。ではなぜ起きるのか、そしてどのように回復へと向かうのかを整理していきましょう。

胃酸逆流のメカニズム

  • アルコールには 胃酸分泌を促進する作用 があります。
  • 同時に 下部食道括約筋(LES) をゆるめるため、本来逆流を防ぐ仕組みが弱まり、酸が上がってきやすくなる。
  • 特にワインやスパークリング系、強い蒸留酒などを空腹で飲むと、この傾向は強まります。

つまり、夜遅くに飲み、横になればなおさら酸は逆流しやすい。これは多くの人が経験する「飲んだ翌朝の胸やけ」の理由です。

対処の第一歩:体勢を整える

  1. すぐに横にならない
    飲んだ直後の睡眠は逆流を悪化させます。
    翌朝つらいときは、なるべく 上体を30度ほど起こした姿勢 で休むのがよい。
  2. 右を下にして寝ない
    胃の出口が右側にあるため、右を下にすると逆流しやすくなります。
    仰向けか、左を下にする方が楽になります。

体内からのアプローチ

  • 水分補給
    まずは常温の水。冷たい水は刺激になる場合もあるので控えめに。
  • 味噌汁・スープ
    塩分とミネラルが補給でき、胃をやさしく守ります。
  • 乳製品(ホットミルクやヨーグルト)
    一部の人には胃酸を中和する効果がありますが、逆に重たく感じることもあるので体調に合わせて。
  • ショウガ湯やハーブティー
    胃の動きを整える作用が期待できます。

ツボでのサポート:「内関」×「足三里」

すでにシリーズで登場しているツボですが、胃酸逆流にも大変有効です。

  • 内関(ないかん)
    手首のしわから指3本分下の、2本の腱の間。
    胃のむかつきや吐き気を鎮める即効ポイント。
  • 足三里(あしさんり)
    膝のお皿の外側から指4本分下。
    胃腸全般の調子を整える「万能のツボ」と呼ばれます。

指でじんわり押して、呼吸を整えながら1〜2分刺激すると、胸のあたりがすっと軽くなることがあります。

翌日に向けての静かな工夫

  • 夜遅くの食事と飲酒はなるべく避ける
  • 炭酸や柑橘系を飲み過ぎない
  • 睡眠前に枕を高めにして休む

どれも小さな工夫ですが、積み重ねで翌朝の快適さは大きく変わります。

まとめ

二日酔いの胸やけは、胃酸と重力のせめぎ合い。

そこに静かに寄り添うのは、姿勢と水分、そして体の声を聴く小さな習慣。

酒を楽しむからこそ、翌朝をどう過ごすかに工夫を。

「胃酸逆流・胸やけ」もまた、身体からのサインのひとつ。それを受け止めながら、次の一杯をより豊かに味わう準備を整えていきましょう。

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