二日酔いからの脱却・ツボ検証【第2回】

頭痛に強い「合谷 × 太陽」を徹底的に

本日は、二日酔いで最もつらい症状のひとつ「頭痛」を、遠隔(合谷)×局所(太陽)の二段構えで和らげる方法を、手順・強さ・呼吸のテンポまで丁寧にまとめます。

即効の魔法ではありませんが、安全に再現できるセルフケアとして設計しています。

1. まずは頭痛タイプを軽く見立てる(30秒)

  • こめかみ周辺が締め付けられる…緊張性/眼精疲労寄り → 太陽を重点
  • 頭全体が重く、目の奥がズーン…二日酔い特有の血管性+脱水 → 合谷→太陽の順
  • 拍動(ズキンズキン)や吐き気が強い…無理せず静かに・薄暗い環境で短時間だけ

目標は「痛みスコア(0–10)が2ポイント下がること」。全部0にしようとせず、下げ幅の安定を狙います。

2. 合谷(ごうこく):遠隔で“痛みのボリューム”を下げる

場所:手の甲、親指と人差し指の骨が交差する“V字”の奥。押すと深い鈍痛が広がる一点
ねらい:痛みのゲート制御(脳に届く痛み情報の下げ止め)、肩・首まわりの過緊張の解除。

位置の取り方(失敗しにくいコツ)

  1. 反対の手の親指をV字の根元に置き、皮膚を少したわませる
  2. たわませたまま斜めやや人差し指側へ2–3mmスライドすると「ズン」と響く点に当たりやすい。
  3. 見つからなければ、**小さく円を描く“探圧”**で最も響く点を探す。

押し方・強さ・時間

  • 強さ:10段階で5–6(痛気持ちいい)。7以上は交感神経を上げやすいので×
  • 時間45–60秒 × 2セット(左右交互)
  • 呼吸4秒吸って → 6秒吐く。沈めるのは吐くとき
  • 解放(リリース):一気に離さず、2秒かけて圧を抜くと反動が出にくい。

🔎 “正解サイン”
・目のピントが合いやすくなる/こめかみの圧迫感が1段軽い
・肩の力がふっと抜ける
・あくびが出る、腹が鳴る(自律神経が落ち着いたサイン)

⚠ 注意
妊娠中は強い刺激を避けるのが一般的な目安です。体調に不安がある場合は実施前に医療者へ。

3. 太陽(たいよう):局所で“こめかみの囲い”をゆるめる

場所:眉尻と目尻の中間からやや外・上にあるこめかみのくぼみ
ねらい:側頭筋の過緊張の緩解、眼精疲労による“表情のこわばり”の解除。

位置の取り方(左右差に注意)

  1. 歯を軽く噛みしめると側頭部がふくらむ→力を抜く→一瞬ふっと柔らかくなる窪みが太陽。
  2. 眼の奥に響く“良い鈍さ”が目標。刺すような痛みは場所が浅い強すぎです。

押し方のバリエーション

  • 止圧:人差し指or中指の腹で、垂直に30–45秒。呼気で沈め、吸気で静止。
  • 微小円運動:皮膚を擦らず、1–2mmの極小円で10–15秒。筋膜のすべりを回復。
  • 挟み押し:片手で太陽、同側の**顎関節(耳珠の前)**を反対手で軽く支えると緊張が抜けやすい。

🔎 “正解サイン”
・まぶたが重だるい→ほどける
・明るさが少し柔らかく感じる
・こめかみの“拍動”が落ち着く

⚠ 注意
皮膚が薄い部位です。滑らせず、こすらず。化粧や汗で滑る場合は指をドライに。

4. 合谷→太陽の“二段プロトコル”(所要12分)

  1. 合谷:右45–60秒 → 左45–60秒(×2セット)
  2. 太陽:右30–45秒止圧+10秒極小円 → 左も同様(×2セット)
  3. 仕上げこめかみから耳の後ろ→鎖骨へ、手のひらで3回“流す”(リンパの意識でやさしく)
  4. 白湯をひと口。明るさを少し落とし、目を閉じて30秒静止

✔ 評価:開始前と同じスコアで痛み・目の奥・肩こりを再チェック。
✔ 2ポイント下がれば成功。変化が乏しければ合谷の位置を1–2mm見直すと改善することが多いです。

5. デスクで目立たず行う“仕事中5分版”

  • 合谷(片手ずつ45秒)→キーボードの合間に。視線はやや下へ。
  • 太陽(左右各30秒)→“電話を耳に当てる”仕草で自然に。
  • 仕上げ目を閉じて10秒 × 3回、呼気を長めに。

追加のひと工夫:モニター輝度を10–15%下げる/行間を広げる/フォントを一段大きく。
刺激入力を減らすだけで、ツボの効きが1.2倍くらい体感で変わります。

6. うまくいかない時のトラブルシューティング

症状/状況よくある原因修正ポイント
合谷が“ただ痛い”点が浅い/強すぎ皮膚をたわませてから沈める。強さ5–6/10
太陽でズキッとするこすっている/角度が斜め指腹を垂直止圧中心に。微小円は1–2mm
効いた感が続かない呼気が浅い/脱水6–7秒吐くを意識。白湯 or 味噌汁を追加
光がつらい環境要因が強い照度を落とし、画面から30cm遠ざける

7. よくある質問(簡潔版)

  • Q. どのくらいの頻度が良いですか?
    A. 1日2–3回、1回10–12分が目安。こまめに短くでも可。
  • Q. 頭痛薬と一緒にやっても大丈夫?
    A. 基本は可。ただし強い頭痛が続く場合は無理せず休息と水分、必要なら医療機関へ。
  • Q. 片頭痛っぽい拍動痛には?
    A. 暗めの環境で短時間・弱圧**。氷や冷却シートでこめかみを軽く冷やすのも一案です。

8. 安全のための“赤信号”

  • 突然の“人生最悪”レベルの頭痛/言語のもつれ/片側の脱力・しびれ/発熱や項部硬直
    → ツボ押しは中止して、速やかに受診をお願いします。

9. ミニ記録テンプレート(コピペ用)

  • 日付/開始時刻:
  • 飲酒量・就寝〜起床:
  • 前スコア(頭痛/目の奥/肩こり):
  • 実施:合谷(R/L・回数)/太陽(R/L・回数)
  • 後スコア:
  • メモ(効いたサイン・環境・飲食など):

3~5回分を並べると、あなたの当たり位置・時間・呼吸の型が見えてきます。そこまで来れば、ほぼ“ルーティン化”成功です。

10. まとめ

  • 合谷で全体の“痛みボリューム”を下げ、太陽で局所の締め付けをほどく。
  • 吐く息に合わせて沈める/2秒かけて離す――この二つが効きの鍵。
  • 環境(光・水分・姿勢)を整えると、同じ手順でも体感が一段上がる

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