肝臓と膵臓に、日々の感謝を込めて
夜が更けるにつれて、グラスが重ねられていく。
気の置けない仲間と過ごす夜、あるいは一人静かに向き合うウイスキーの時間。
そんな夜の余韻が、翌朝まで美しく残ってくれれば、と思うのは、誰しも一度は抱く願いかもしれません。
けれど現実は、重たい頭と乾いた喉。そして「もう飲まないぞ」と、いつもの誓い。
今日は少し真面目に、「二日酔いに強い体とは?」を考えてみたいと思います。鍵は、肝臓と膵臓、このふたつの沈黙の臓器にありました。
肝臓の話ー“分解屋”としての責務
アルコールを摂取すると、まずは肝臓がそれを“分解”してくれます。エタノールは「アセトアルデヒド」に変わり、さらに「酢酸」へ。その過程で発生する有害物質こそが、あの重たい二日酔いの正体。
この分解作業を担っているのが、肝臓です。無言で、淡々と、我々の深酒を処理してくれている。
しかし無限ではありません。
大切なのは、“休ませる日”を設けること。休肝日という言葉はもはや古風に聞こえるかもしれませんが、肝臓にとってはまさに“休日出勤が続いたあとの有休”にあたります。
膵臓の話ー“血糖バランス”の陰の主役
あまり知られていませんが、二日酔いの症状のひとつに「低血糖」があります。
これは、膵臓の働きによってインスリンが多く出すぎた結果。
「なんとなくフラつく」「甘いものを欲する」ーそれ、肝臓のせいではなく、膵臓の疲労かもしれません。
膵臓を守るには、糖質の摂りすぎに注意し、たんぱく質を意識すること。そして、できるなら早めの夕食+適度な運動が理想です。
日々の生活に取り入れたい、七つの習慣
習慣 | 理由 |
---|---|
① 週2日の休肝日 | 肝臓の修復と回復の時間を確保 |
② 空腹で飲まない | アルコールの吸収が緩やかに。肝臓の急な負担を避ける |
③ 卵・納豆・魚などのたんぱく質 | 肝細胞の修復材料になる。飲んだ翌朝も積極的に |
④ ビタミンB群の摂取 | 代謝に不可欠。サプリや玄米、レバー類で意識的に摂取を |
⑤ 糖質控えめの生活 | インスリンの過剰分泌を防ぎ、膵臓の負担を軽減 |
⑥ 「しじみ」「ウコン」など | 昔ながらの食材も見直す価値あり。特にオルニチンやクルクミン |
⑦ 有酸素運動(ウォーキング) | 肝臓の脂肪沈着を防ぎ、代謝を促進 |
サウナは効くのか?
よく聞かれるのが、「サウナは二日酔いに効きますか?」というご質問。
答えは、「直接的には△、間接的には◎」です。
サウナは発汗によってアルコールを排出する…というよりは、自律神経を整え、血流を改善することで、結果的に肝機能の回復を促すというイメージ。
筆者もよく、「飲んだ翌日の夕方サウナ」を実践しています。整うことより、「立ち直る」ためのリセット時間という感覚でしょうか。
最後に
「強い体」とは、無茶に耐える体ではなく、回復しやすい体のことなのかもしれません。
飲む日があるなら、飲まない日を。脂っこい夜があるなら、出汁の効いた朝を。
そして、沈黙の臓器に「ありがとう」と、たまに思い出してあげること。
それこそが、二日酔いと静かに共存する、大人の知恵なのだと思います。
今夜の一杯
今夜は、ソーダで割っただけのシンプルなジン。強くて、軽くて、どこか透明な味わい。
二日酔いに優しいかどうかは…また明日の朝、確かめるとします。