16時間断食と二日酔いの関係

「食べない時間」が肝臓に与える恩恵とは

ここ数年、いわゆる「16時間断食」の生活を続けております。

夜遅く(多くは24時前後)に食事を終え、次に口にするのは、翌日の午後16時頃。およそ16時間以上、固形物を摂らない時間が毎日続くことになります。

この生活をはじめてからというもの、不思議なことに、以前よりも「二日酔い」になる頻度が減ってきました。

もちろん、まったく酔わない、あるいは毎朝スッキリしているというわけではありませんが、「重たい不快感」「頭の締め付け」「内臓のだるさ」のような典型的な二日酔い症状が、著しく減っているように感じています。

今回は、その背景にどのような身体のメカニズムが関わっているのか、日々の実感をもとに考察してまいります。

胃腸を「空」にしておく時間が、肝臓の負担を減らす

まず基本的な考えとして、16時間断食のもっとも大きな特徴は「消化器官を完全に休ませる時間を確保できる」点にあります。

特に私たちが摂取するアルコールは、肝臓を酷使する代表的なもの。お酒を飲んだその日の夜にしっかり食事を摂ると、肝臓は「アルコール分解」と「食事の栄養処理」を同時に行うことになり、たいへんなマルチタスク状態となります。

ところが、もし翌日の朝から昼にかけて、何も食べない状態で過ごすことができれば、肝臓はアルコール分解のみに集中できる時間を得ることになります。つまり、解毒に専念できる「静かな環境」が整うわけです。

これが、翌日になっても残っていたアルコールやアセトアルデヒド(有害物質)の分解をスムーズにし、結果として「だるさ」や「吐き気」が軽減される一因であると考えられます。

血糖値の安定も、好影響を与える

また、食事をしないことでインスリンの分泌が抑えられ、血糖値が一時的に低く安定いたします。これもまた、二日酔い独特の「頭のぼんやり感」や「イライラ感」が軽く感じられる理由かもしれません。

通常、アルコール摂取によって血糖値は一度大きく下がります。その後に高カロリーの食事や糖分を摂ると、急激な上昇と下降を繰り返すため、身体がぐったりと感じてしまうのです。しかし16時間断食の習慣があると、この「血糖値のジェットコースター」を回避し、肝臓が安定した状態を保てるようになります。

水分補給は「質」で支える

ちなみに、断食時間中の水分補給については、私は「水」「白湯」「ブラックコーヒー」のみを基本としております。これもまた、身体の負担を減らすうえで非常に重要な要素です。味の濃い清涼飲料水やスポーツドリンク、ジュース類は、血糖値を不安定にしたり、胃酸分泌を促してしまう可能性があります。

白湯は特に、内臓をじんわりと温め、肝臓や腎臓の働きをサポートしてくれる頼もしい存在でございます。

食事は「味噌汁」から始めるのが基本

16時以降の食事に関しては、まず最初に「味噌汁」をいただくようにしております。これもまた、二日酔いの回復には一役買っております。

味噌には豊富なアミノ酸が含まれており、肝臓の修復を助けるとされております。また、発酵食品として腸内環境を整える効果も期待でき、二日酔い時の「お腹の違和感」や「便通の不調」にも優しく働きかけてくれるように感じます。

「我慢」ではなく「習慣」だからこそ続く

この16時間断食の生活も、最初は意識して続けていたものの、今ではすっかり自然な日常となりました。空腹感もほとんどなく、「午前中はコーヒーと白湯で十分」という身体になっております。

そして驚くべきことに、こうしたシンプルな生活スタイルが、「二日酔いの軽減」という副次的な恩恵をもたらしてくれるとは、当初は思ってもおりませんでした。

最後に

お酒をやめることなく、二日酔いを軽くしたい。そんな都合の良い話があるものかと思っておりましたが、どうやら「飲んだあとの時間の使い方」によっては、それも不可能ではないようです。

「食べない時間をつくる」というシンプルな工夫が、あなたの身体に思わぬやすらぎをもたらすかもしれません。

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