〜マイナンバーカードとパソコンと、静かな午後〜
2025年春、私は新しく法人を立ち上げることを決めました。
神奈川県西部で学習塾を立ち上げてから数年。大変ありがたいことに生徒も少しずつ増え、「もっと自由に、もっと広く、自分のやりたいことを形にしていきたい」という思いが、日に日に膨らんでいきました。
学習塾に加えて、飲食店や温泉旅館、そしてサウナ施設などへの取材を通して、ブログやYouTubeといった媒体で発信をするといった活動も、いずれは仕事として位置づけていきたい…
そして、そのためにはきちんとした“器”が必要だ…そう考え、法人設立をやってみることにしました。
しかも専門家に頼ることなく、自分自身の力で…
そもそも、手続きのために公証役場や法務局に何度も足を運ぶ時間はなかなか取れません。それに、司法書士にお願いをする余裕もありません。
そこで今回は、「法人設立ワンストップサービス」という政府のオンラインサイトを使って、ほぼすべての作業を自宅から、パソコンとマイナンバーカードで進めることにしました。
…これが、なかなか大変だったのです。
まずは定款の作成と認証から。この会社の目的や運営ルールを記した“定款”というものは、法人設立の要となる文書です。
それをオンラインで作成し、マイナンバーカードを使って電子署名をほどこし、その後公証役場にデータを送信します。
やってみると、画面の案内が不親切だったり、ファイル形式が微妙に合わなかったりと、「これで本当に合ってるのか…?」と、何度も不安になる場面がありました。
マイナンバーカードの読み取りにおいても、パスワード入力もうまくいかず、ソフトをダウンロードしては再起動して、と、少しずつと作業を進めていきました。
それでもなんとか、厚木公証役場とのやりとりを無事に終え、定款はオンラインで正式に認証されました。
出かけることもなく、ただ静かな午後に、黙々とパソコンに向かい続けた数時間。目の前のコーヒーはすっかり冷めていましたが、なぜか清々しさのようなものが心に残りました。
自分自身で作り上げていく法人という器。まだ何も入っていない器ですが、その分、どんな色にも染められそうな気がしています。
次は、登記のオンライン申請へと進んでいきます。
ここからが本番…そう言えるかもしれません。続きは「その二」にて、またゆっくり綴ってまいります。